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ボストン美術館収蔵の武者絵で『鎌倉殿の13人』の世界を楽しむ/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

芸能・女子アナ 投稿日:2022.03.11 16:15FLASH編集部

ボストン美術館収蔵の武者絵で『鎌倉殿の13人』の世界を楽しむ/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

合戦の様子が生き生きと描かれた浮世絵の数々/「THE HEROES 刀剣×浮世絵−武者たちの物語」

 

 日曜夜のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を楽しみに見ています。

 

 タイトルの「鎌倉殿」は源頼朝、「13人」は頼朝の死後、合議制で時の政治を動かした御家人の数です。

 

 歴史の教科書で習ったことを思い出すと、頼朝(大泉洋)は、妻の北条政子(小池栄子)の弟である義時(小栗旬)はじめ北条一門の応援を得て関東武士団を結集し、ついに平家を破り、鎌倉幕府の初代将軍となります。

 

 

「1192(いい国)作ろう鎌倉幕府」と覚えた幕府成立の年代は、いまや教科書の多くが1185年に変更して久しいと聞きます。

 

 それはさておき、頼家、実朝という源氏の正統が途絶えた後、権力の中枢についたのが北条義時でした。

 

 ドラマは、北条義時を主人公に、頼朝を支えた13人の家臣たちによる権力のパワーゲームを描きます。歴史が得意でないこともあり、最初は人がたくさん出てきて、誰が誰だかよくわからないところもあったのですが、三谷幸喜さんの脚本はやはり面白い。

 

 大河ドラマは1年間続きます。3月6日放送の第9話では、菅田将暉さん演じる源義経と頼朝が涙の対面を果たしました。

 

「兄上!」と叫びながら駆け寄る菅田さんの端正な顔立ちがいかにも義経ならば、「よう来てくれた!」と感極まる大泉さんの頼朝も、日本史の教科書によく出てくる「源頼朝像」の顔にだんだん似てきた気がします。

 

 ここから壇ノ浦の戦いで平家が滅亡するまでが歴史のひとつのハイライト。どんなふうに描かれ、どんなドラマが演じられるのか、見逃せません。

 

 ところで、歴史上、源氏と平家の間で繰り広げられた多くの戦いは、物語から歌舞伎まで、さまざまな形で現代に伝えられています。

 

 東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中のボストン美術館所蔵『THE HEROES 刀剣×浮世絵−武者たちの物語』(3月25日まで)の「源平時代の英雄」という章で、『鎌倉殿の13人』のこれからの展開と同じテーマの作品が並んでいます。

 

 世界屈指の日本美術コレクションを誇るボストン美術館の浮世絵・刀剣・鐔(つば)で構成する展覧会。

 

 刀剣は約600口のコレクションより、平安時代の安綱から江戸時代末期まで日本刀の歴史を概観できる作品が20口。刀の名鐔(めいたん)は27点。

 

 もともと戦いのために作られた武器のはずなのに、なんという美意識の高さでしょう。

 

 そして、やはり一番目がいくのは「武者絵」版画です。ボストン美術館の浮世絵版画コレクションは約5万点もあり、日本初出展の118点が厳選されています。

 

 江戸時代、葛飾北斎の「風景画」や喜多川歌麿の「美人画」、東洲斎写楽の「役者絵」などと並んで、庶民の間では、武者たちの物語を描いた浮世絵も人気だったのだそうです。

 

 今回出展されている菱川師宣、歌川国芳をはじめとする有名絵師が描いた「武者絵」は抜群の保存状態。摺られた当時の鮮やかな色彩のまま、物語が印象的に語りかけてくるよう。

 

 武者絵自体は、神代の武勇譚から平安、鎌倉、南北朝の時代まで網羅していますが、こと「源平時代の英雄」の章は『平家物語』や『源平盛衰記』の世界です。

 

 多くの武将がさまざまな活躍をして歴史を作ってきましたが、この時代のヒーローと言えば、圧倒的に源義経です。

 

 幼少の頃の牛若丸と呼ばれた時代から、一の谷、屋島、そして壇ノ浦の合戦で平家を滅亡させるまでの活躍と、その後、頼朝の怒りに触れて討手に追われる身となり、悲運の最期を遂げるドラマチックな人生。

 

 江戸時代の人も、義経には私たちと同じような親近感を寄せています。これからしばらく、「菅田義経」の活躍を手に汗握って見守り、その運命に涙したいと思います。

 

 ところで、「鎌倉時代の物語」の章で、北条義時の父である北条時政の武者絵も見つけました。

 

 時政が江ノ島にこもって、子孫繁栄を願ったところ、弁財天が現れて「子孫は日本の主となって栄華を誇るであろう」と告げ、大蛇となって海に入ったという『太平記』のストーリーを元にした『江の島の北条時政』(魚屋北渓・1833年頃)。

 

 ドラマの時政は坂東彌十郎さんがなんともいい味を出しています。この版画の前に立ったら、思い出して吹きだしてしまいました。

 

横井弘海(よこいひろみ)

東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 

( SmartFLASH )

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