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特別展「琉球」の展示は圧巻!知らなかった沖縄文化のベスト3を選んだら/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.27 16:00 最終更新日:2022.05.27 16:00
上野の東京国立博物館で、特別展「琉球」が開催されています(6月26日まで。その後、九州国立博物館で7月16日~9月4日)。
沖縄県が本土に復帰して今年で50年。太平洋戦争の激戦地となり、戦後は27年にわたってアメリカの統治下に置かれました。
現在放送中のNHKの朝ドラ『ちむどんどん』も、戦後の沖縄が舞台ですが、考えてみると、琉球王国の時代についてはよく知りません。知っているのは、沖縄に行くとどこからともなく聴こえてくる「三線」の独特の音色と泡盛ぐらい。
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もともと東京国立博物館は、琉球に関して日本有数のコレクションを誇るそうですが、今回、琉球王国時代の歴史資料、工芸作品、王家・尚家に伝わる宝物、考古遺物などが、過去にない規模で一堂に会しています。
さらに、沖縄県が2015年度より取り組んでいる文化遺産の復元品も展示されているので、琉球・沖縄の魅力を総合的に知ることができるよい機会です。
琉球王国は、今の沖縄県から奄美諸島にかけて存在しました。12世紀以降に一体的な文化圏を形成し、15世紀に政治的な統合を遂げました。日本や朝鮮半島、中国大陸、東南アジアと盛んに交流し、中継貿易の拠点として栄えました。
その繁栄ぶりは、交易でもたらされた国際色豊かな品々からもうかがうことができます。
あらためて、地図を見てみました。沖縄県の面積は約2281平方キロメートル。香川、大阪、東京に次いで4番めに小さい県です。でも、東西約1000キロ、南北約400キロに及ぶ海域があり、160の島々が点在しています。
那覇を中心にして円を描くと、半径800キロ前後に福岡や上海、1500キロ前後に東京、ピョンヤン、香港、マニラがほぼ同じ距離に位置しています。こんなに広大な海を行き来していたのですね。
展覧会は見どころ満載で、圧巻のひと言。とても一度では見きれないのですが、とりあえず独断と偏見で、展覧会の必見ベスト3を選んでみました。
まずは、海洋国家である琉球王国の気概とその後の沖縄の歴史を象徴する、15世紀に制作された「銅鐘 旧首里城正殿鐘 藤原国善作 天順2年(1458)」という梵鐘。
初期の王・尚巴志は那覇港を整備し、明に朝貢して冊封体制を築き、貿易に力を入れ、琉球を繁栄させました。
このころ作られた、通称「万国津梁の鐘」には、「琉球王国は船の交易によってアジア各地を結ぶ『万国津梁』(万国の架け橋)である」と自らうたった銘文が刻まれています。
普通の梵鐘より色が黒ずんでおり、表面には穴やへこみが見られます。これは沖縄戦の傷跡で、火で黒焦げになったのだそうです。歴史をいくつも乗り越えてきた梵鐘を目の前にして、少し胸が熱くなりました。
2つめは、衣装のデザインである「紅型」。展示されている衣装はほとんど国宝です。染め織りも素晴らしいですが、紅型の華やかで大胆な色使いは、目が覚めるような美しさ。
石黄で黄色に染められた地に、ありとあらゆるおめでたいモチーフが、紅型で染められた振袖は、王妃の婚礼衣装かもしれません。赤や黄色は王族の衣装に使われた高貴な色で、沖縄の強い日差しにとても映えたことでしょう。
専門家から見れば、この衣装の文様は中国と日本の両方の正装の形状が融合しており、それが琉球独特の王朝文化を想起させて興味深いそう。
展覧会の図録に、「ちゃんぷるー」な発想こそ紅型模様の特筆すべき点だとの記述があります。チャンプルーとは沖縄の方言で「混ぜこぜにしたもの」。琉球の美意識と技術による紅型は、各国との交流により生まれた文化の形なのでしょう。
そして、3つめは、会場内でもっとも人が集まっていた国宝の刀剣です。ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」の刀剣男士のモチーフにもなった作品群で、特に「青貝螺鈿鞘腰刀拵(号 北谷菜切)」の切貝を丁寧にまいた「拵(こしらえ)」の美しさは別格!
昔ながらの独特な伝統や風俗は、短い旅ではなかなか知ることができません。琉球王国の栄華とともに、しまの人たちが大切にしてきたものや心を展覧会で感じて、また近く沖縄を訪れたいと思っています。
横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
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