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調理も配膳もおまかせ…ロボットレストランで味わう近未来気分/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.03 16:00 最終更新日:2022.06.03 16:00
東京・羽田空港に隣接した大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」内に、ロボットレストラン「AI_SCAPE(アイ・スケープ)」がオープンしました。
最近は、料理をロボットが席まで運ぶファミリーレストランや、遠隔操作で分身ロボットが配膳するカフェなどを見かけるようになりましたが、「AI_SCAPE」は一歩先を行っています。
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数種類のロボットたちがレトルトパウチ食品を湯せんして温め、袋をカットして容器に盛り付け、料理の入ったトレーを席まで運び、テーブルの上に置いてくれます。
客はテーブル席からスマホでQRコードを読み取り、注文・支払いをします。するとロボットが調理を始め、完成すると配膳ロボットが席まで料理を運ぶシステム。ちなみに、支払い方法はクレジットカードやPayPayなどキャッシュレスのみです。
一連の作業はオープンキッチンで見渡すことができ、数種類のロボットがそれぞれにキビキビ動いている様子は近未来的な雰囲気です。
土日は家族づれが列をなし、平日は一般の方々から競合メーカーの人たちまで来店しているそう。
私が訪れた平日の夕方は、ロボットが好きそうな男性たちで満席でした。若い男性2人が、ロボットの動きを見ながら「わー、不思議だ。不思議だ」と言い合いながら、盛り上がっていました。
目の前で起こっていることは多分すべてがすごいのですが、機械音痴の私にとっては、美味しくて楽しい時間を過ごせるかが大切です。
その点でも「AI_SCAPE」はグッド。料理研究家を入れて作ったメニューは3種類あり、カレー、パスタ、スープを中心としたセットで、サラダとドリンクが付いて各1500円。メニューは季節により変えていくそうです。
頼んだ海老のビスクはとても美味! つけあわせの米粉の塩こうじパンもグリーンサラダも、素材にこだわりが感じられる味わいでした。
ドリンクは注文した後、ドリンクバーに自分で取りに行きますが、飲み物を出してくれるのも、やはりロボットでした。
「ご注文の料理でございます。ごゆっくりどうぞ」と笑顔を見せながら、器用に2本の腕を使って、トレーを目の前に置いてくれたのは、双腕自走サービスロボット「Nyokkey(ニョッキー)」。思わずこちらも笑顔になりました。
使用されているのは紙容器で、普通に売っているもの。店内にある電子レンジのボタンもドアの取っ手も、ロボットのためにデザインされたモノはないそうです。それこそが人間とロボットが共生できる未来の世界の姿かもしれません。
「AI_SCAPE」は、1969年に国産初の産業用ロボットを世の中に送り出した川崎重工業が中心となって始めたプロジェクトです。大学やスタートアップを対象とした研究開発実証施設「YouComeLab(ユーカムラボ)」のなかで、一般でも体験できるスペースが「AI_SCAPE」なのです。
このレストランは、ロボットを身近に体験できる実証実験場。調理・配膳などレストランの作業すべてをロボットでおこなうことを目標としており、人がロボットと共存するのに必要な各種データの採取を目的としています。利用者の声は、直接、ロボットの改善に生かされます。
それにしても、人間とロボットが協業する未来は本当に来るのでしょうか。ロボット工学の専門家である、明治大学理工学部の黒田洋司教授にご意見を伺ってみました。
「私自身も『周りにロボットが満ちあふれている社会』をどうやって実現しようか考えています。
先進国では、急激な高齢化とそれにともなう労働力不足が大きな社会問題になっており、ロボットがそれを食い止める、せめて遅らせてくれる手段になればいいと思っています」
問題は、安定性、再現性、保守性などに加えて、ロボットの価格や耐久性などをいかにクリアしていくかです。
「このニョッキーは、本当は今やっている倍の速さで作業できるみたいです」と伝えると、「おお、それは素晴らしい」と教授は驚かれました。
「実際、ロボットで成功しているのは工場内の産業用ロボットだけで、一般の目に触れるロボットで成功しているものはまだないんです。
しいてあげれば、掃除機ロボットのルンバなどがまあまあな成績ですが,事業規模という意味では全然。自動運転や搬送ロボットなども、まだこれからの分野で試験中の段階。市場形成には成功していません。
なぜうまくいっていないかというと、一にも二にも収益性。おもちゃではブームで終わってしまいますし、人がやった方が安いのなら普及しません。だから、日本のテクノロジーここにあり! という感じで、頑張ってほしいです」
なるほど!
「AI_SCAPE」の次の目標は「下膳」だそう。ロボティクスによる未来への挑戦に、これからも目が離せません。
横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
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