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『トップガン マーヴェリック』必見の理由を監修者の元空将に聞いた/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.24 16:00 最終更新日:2022.06.24 16:00
映画『トップガン マーヴェリック』をご覧になりましたか? 5月27日の公開からまもなく1カ月。いまだに希望する時間の席が取りにくいほどヒットしています。
1986年に公開されたアクション映画の超大作『トップガン』の続編で、主役を演じたトム・クルーズは、この作品により、一躍ハリウッドスターの仲間入り。そして、今回は続編製作権をもつプロデューサーとしても関わっています。
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物語は、アメリカ海軍のエリート・パイロットチーム「トップガン」が、絶対不可能にも思える極秘ミッションに直面。その達成のため、天才パイロットでありながら、常識破りの性格のため組織から追いやられていた “マーヴェリック” 大佐が教官として呼ばれ、若いパイロットたちと命を懸けるというもの。
カメラを実際の戦闘機(空母の艦載機)に搭載して撮影した圧倒的な迫力のスカイアクションに、友情、恋愛、確執などさまざまな人間模様が織り込まれた、これぞハリウッド映画という娯楽作品です。
ところで、『トップガン マーヴェリック』は、物語の設定上、専門用語がたくさん出てきます。一般の人はまず知らない特異な業界用語が、戸田奈津子さんの字幕により、わかりやすく説明され、ストーリーに没入することができます。
監修したのは元航空自衛隊空将・永岩俊道氏です。永岩氏は、米空軍ルーク空軍基地で F-15の訓練を受け、教官として活躍、空自F-15戦闘機部隊の草分け的な存在となった人物です。
そんな永岩氏から見て、『トップガン マーヴェリック』はどれほどすごい映画なのでしょうか。ご本人に話を伺いました。
「現役時代の戦闘機乗りの戦友らが、みんな『映画を観て何回も涙が出た』と言うのです。それは、自らの戦闘機乗りの人生と大きく重なったからだと思います。
厳しい戦闘訓練、リスクをともなった試験飛行、先輩や後輩、同期らの航空事故死、日本の美しい空を守ってきたという密かな自負心と誇りなどを、涙ながらに思い出したというのです。
『リアルに見せる』ことに関して、トム・クルーズ、映画製作者、米海軍の努力や熱意は天下一品。有人機の映画で、これ以上の作品は金輪際出てこないと思うほど、リアルに作り込まれています」
プロを唸らせるほどの完成度――たとえば、かつての盟友アイスマンに、マーヴェリックが「自分は戦闘機乗り。それは職業ではなく、僕そのものだ」と語るシーンがあります。そんな場面にもジーンと来るのだろうなぁと想像しました。
マーヴェリックが、30~40年前の旧型戦闘機F-14を操縦する場面についても、プロならではの解説をしてくださいました。
「彼が『トップガン』たる所以は、戦闘機の特性をすべて掌握し、最大性能を発揮できる能力とセンスと状況判断能力を有していること。まともな操縦をしていては、最新鋭の戦闘機にはとても勝てません。
そこでマーヴェリックは、可変翼の開閉、左右スロットルの開閉といった操作を駆使して優位に立とうとします。プラスGよりもキツいマイナスGを選択するなど、エースパイロットの彼にしかできない戦術・戦法でした」
戦闘機の操縦の違いは、正直言って私にはまったくわかりませんが、そこまでリアルに作っていると聞いて、とても驚きました。
軍事系の知識をお持ちの方からは、「なぜ最新鋭ステルス戦闘機F-35を使用しないのか?」「なぜ短射程ミサイルと機関砲だけの空中戦がメインなのか?」という質問が出るそうですが、「答えは簡単で、それはトム・クルーズ主役の娯楽映画だからです!」ときっぱり。
「長射程のレーダー誘導ミサイルの撃ち合いにすると、ドッグファイト(格闘戦)も何もなくなり、面白い映画にならない。最新鋭機のステルス戦闘機はさすがに機密が多くて、米海軍もそれを映画に使用することはまず許可しません」
ところで、出演した俳優たちは、米海軍の飛行隊で5カ月にわたる実フライトの特訓を受けたそうです。
戦闘機の操縦は難しく、一人前のパイロットになるには5〜10年の訓練期間が必要だそうですが、「ハイGがかかったときの顔の歪みや高Gによる意識喪失(G LOC)などの表情も真に迫っていました」とのことです。
「トム・クルーズは、映画の最後に見せたように、P-51マスタングというかつての戦闘機を自ら操縦しています。トムは、5月24日のプレミア試写会で『あれは僕の飛行機だ』と空自の現役戦闘機パイロットに自慢していました。その本気度は半端ではありません。荒唐無稽なところもないわけではありませんが、この映画はシンプルに、大画面・高音質の映画館で楽しむべき超娯楽大作なんです」
リアルにこだわり、リアルに見せた結果、永岩氏のような大向こうをも唸らせる作品になったのです。
先日、36年前の『トップガン』を見直してみました。海軍のエリートパイロットの養成学校のトム・クルーズはハツラツとして、当然若い! ストーリーも続編と絶妙にシンクロしており、2作品を見て、彼がいかに愛情を注ぎ、長年温めてきた構想なのかを強く感じました。
それにしても、今回も驚いたのは、変わらぬ優しい笑顔と鍛え上げた体。映画のセリフに何度か出てきたように「その目つきはやめて」と言いたくなるような、人の心を溶かす魅力。
やっぱりトム・クルーズって、すごい!
横井弘海(よこいひろみ)
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
『トップガン マーヴェリック』(配給:東和ピクチャーズ)
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