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水木しげる、妖怪の出そうな “空気感” の作られ方/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

芸能・女子アナ 投稿日:2022.07.15 20:00FLASH編集部

水木しげる、妖怪の出そうな “空気感” の作られ方/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」

カップルの行くてを阻むぬりかべ

 

 東京・六本木の東京シティビューで、日本を代表する漫画家水木しげるさんの生誕100年を記念した展覧会「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展 ~お化けたちはこうして生まれた~」が9月4日まで開催中です。

 

 代表作「ゲゲゲの鬼太郎」「日本妖怪大全」「河童の三平」などでおなじみかと思いますが、水木さんは生涯にわたって1000以上の妖怪を描きました。

 

 

 展覧会ではその妖怪画の原画が100点以上公開され、タイトルどおりの「百鬼夜行」。妖怪世界を間近に感じることができます。

 

 さっそく初日に伺うと、家族連れ、カップルなど幅広い年代の方がたくさん訪れていました。

 

 細密に描かれた原画に張りついて見ていると、隣で小学生の低学年くらいの男の子がお父さんに尋ねていました。

 

「ねぇ、妖怪って本当にいるの?」
「お父さんは、妖怪はいると思っているよ」
「ふうーん」

 

 男の子は、漫画のキャラクターとして知っていた妖怪たちが、この展覧会に来てみて、もしかして実在するのかもしれないと感じたのかもしれません。そんな微笑ましい会話があちこちで交わされる、わいわいがやがや楽しい会場です。

 

 展覧会では、水木さんが描いた日本の妖怪たちがどのように生まれてきたかを紐解きます。

 

 水木さんは妖怪の研究に没頭しました。古書店街を頻繁に訪れ、そこで民俗学や妖怪に関する書籍を探したそうです。60代になると世界の妖怪を訪ね歩くようになり、世界妖怪学会を作るなど、その探究心は衰えることがなかったそうです。

 

 今回、所蔵していた多くの妖怪関係資料が初公開されています。

 

 水木さんは、2人の先人に大きな影響を受けました。

 

 ひとりは江戸時代の絵師・鳥山石燕。民衆に伝えられていた妖怪に自分の創作を加えて描き、妖怪の型を定着させたという200年前の絵師です。

 

 水木さんは「ゲゲゲの鬼太郎」で創作した妖怪が30はあるものの、「本来、妖怪は怪獣などのように創作されるものではない。妖怪は昔の人が残した遺産。その型を尊重し、後世に伝えるのがよい」という考えでした。

 

 石燕の「画図百鬼夜行」という妖怪本に登場する妖怪の型を受け継ぎ、水木さんなりの表現で漫画にしたのです。

 

 もうひとりは昭和初期の民俗学者・柳田國男です。「妖怪談義」は、柳田が日本各地を歩き見聞した怪異伝承を編纂した妖怪研究の集大成。水木さんはこの本を読みこみました。ただ、「妖怪談義」には文章しかありません。そこで、記述をもとに妖怪の形を創作したのだそうです。

 

「絵師たちから継承」「さまざまな資料から創作」「文字情報から創作」。この3つが、水木さんが用いた妖怪の創作方法でした。

 

 しかし、継承と言っても、妖怪だけを同じように描くのではなく、そこに生身の人間を入れたり、妖怪が出てくる状況をきめ細やかに描いたり、妖怪の出る “空気感” をあわせて伝えました。

 

 漫画家の水木さんは妖怪文化の守り手と言えます。時代、時代の想いが描かれているのが妖怪。見えないものを恐れ、それを受け継いで、後世に伝えていきたいーー。

 

 そもそも、妖怪、妖怪と言うものの、それは目に見えないもの。見るのではなく、感じるものというのが、水木さんの思いだったそうです。

 

 水木さん記した『妖怪なんでも入門』(小学館)に、「人間は自然を変えようとして、逆に自然の力に打ち負かされてしまってから、はじめて人間の力でもかなわない相手があることがわかったのだろう」というくだりがあります。

 

 明るく快適な現代の生活環境にいると、つい忘れがちな自然への怖れ、憧れ、気配などを、水木さんの怖いけれど愛すべき妖怪たちによって、思い出させてもらっているように感じます。

 

 ところで、水木さんが育った鳥取県はマンガ王国を自認。出身地の境港市にはコナンもいますが、やはり先輩格は水木しげる。米子鬼太郎空港あり、水木しげる記念館あり、水木しげるロードあり、素晴らしい水木ワールドが広がっています。

 

 その水木ロードに並ぶブロンズ像と同じ妖怪たちが、今回の展覧会ではお出迎えをしています。

 

 昨年、大山隠岐国立公園の大山の中のお寺で、ご本人の許可を得て製作された「妖怪天井画」を見る幸運に恵まれました。

 

 大山寺塔頭の圓流院。現在は同寺で展覧会やコンサートなどを開催するときだけ見学できるそうですが、天井画は110枚すべてが水木作品で、そのうち「阿弥陀浄土」「補陀落浄土」をのぞく108枚が妖怪画。

 

 格天井の中央には、水木さんが圓流院のために描いた「大山からす天狗」がはめ込まれていました。

 

 水木さんは「なだらかで優しい姿の大山を見ながら育ちました」と、圓流院のご住職に話したそうです。人里離れた霊峰大山の豊かな自然のなかには、たくさんの妖怪が存在しそう。大山は水木さんの原風景かもしれません。

 

「妖怪はいますか?」とご住職に伺うと、「水木先生ならば、『妖怪は人の心のなかにいるんだよ』と仰るのではないでしょうか」というのがお答え。

 

 また、大山を訪れてみたくなりました。

 

横井弘海(よこいひろみ)

 東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)

 


( SmartFLASH )

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