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百聞を一見にする「グラレコ」で相互理解を深める/女子アナ日下千帆の「美女は友達」

芸能・女子アナ 投稿日:2022.09.08 16:00FLASH編集部

百聞を一見にする「グラレコ」で相互理解を深める/女子アナ日下千帆の「美女は友達」

山﨑さん(左)と日下アナ

 

 会議を可視化し、同じビジョンを共有できたら、仕事の方向性は定まりやすく、ぶれにくいですね。でも、たとえば「おにぎり」と聞いて、みなさんはどんなものを想像するでしょうか。三角のおにぎりでしょうか、それとも俵型でしょうか?

 

「同じ言葉を見たり聞いたりしても、それぞれが頭のなかで違う映像を見ているのです。ビジネスにおいても、共有されているつもりの情報が、人それぞれまったく別のニュアンスに置き換わっていることが、ままあります」

 

 

 イラストを使えば、百聞は一見、瞬時にみんなで同じイメージが共有できます。しかし、真面目な会議にイラストなんて、という先入観から、ビジネスの現場ではほとんど文字だけの資料が用いられてきました。そんな風潮が、最近は変わりつつあるそうです。

 

 今回ご紹介する美女は、グラフィックテラー代表の山﨑史香さんです。

 

 岩手県宮古市出身。山﨑さんは小さい頃から絵が得意で、県の絵画コンテストで入賞するほどの腕前でした。授業のノートも文字だけでは忘れてしまうので絵で取っていましたが、授業中に絵を描いていると、落書きと勘違いされて、先生から怒られることも多かったそうです。絵は好きだけど、子供ながらに絵で食べていけるだけの才能はないと、高校は商業高校を選択されました。

 

 しかし、その後、お祖母さまの乳がんをきっかけに山﨑さんの進路は大きく変わりました。「人を助けるためにもっと何かできることがあるはず」と、介護福祉士の資格を取得したのです。そして卒業後は宮城県に残り、介護老人保健施設で正社員として働きます。

 

「お年寄りに寄り添う仕事でしたが、現場で介助するたびに言われる『ありがとう』という言葉に、感謝よりも『迷惑かけてごめんね。申し訳ない』という、悲しみの意味が含まれていることに気づいたんです」

 

 人には言語に表しきれない微妙なニュアンスの違いがある――。そこで山﨑さんは、目には見えにくい大切なことを伝えてわかり合うため、【絵で描いて通訳すること】を始めました。

 

 初めは上司に理解してもらえず、報告書を図解や手書きイラストつきで提出すると『一般常識がない。仕事は遊びではない。絵を描くなんて』と注意を受けたこともあったそうです。

 

 ところが、時代とともに山崎さんの才能が社会から求められるようになってきました。日本でも「デザイン思考」という言葉が聞かれるようになり、ビジネス書にも文字だけでなく、図解やビジュアルの多いものが増えてきました。

 

 欧米ではもっと進んでおり、GAFAと呼ばれる巨大IT企業は率先して「デザイン思考」を導入し、MBA(経営学修士)に代わってMFA(美術学修士)という学位を取得する方が増えているそうです。

 

■震災で痛感した「伝えられないことだらけ」の日々

 

 現場で仕事を重ねるにつれ、絵の重要さに気づかされることが数多くありました。なかでも印象的な出来事は、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。山﨑さん自身も被災し、大切な方が津波で帰らぬ人となったつらい出来事です。

 

「地震のショックで認知症を発症した方もいました。当時は認知症への理解も地方ではまだまだでしたし、わからないから生じる誤解もありました。

 

 多くの人が大切なものを失い、避難所や仮設住宅では、苦しいけれど言えないことがたくさんありました。みなさん、何かしていないとおかしくなるくらい不安で、笑顔の下には人には見せない苦悩があったのです。もっと上手に対話できていれば、救えた心もあったかもしれません」

 

 この体験をきっかけに、目に見えない “大切な物” を描くことで、本当の思いを整理して残したいと思うようになったそうです。そして32才のとき、人生を変える1冊の本との出会いがありました。

 

「『Graphic Recorder-議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』という本を読んで、これこそが私がやってきたことだと思いました。

 

 ビジネスでも日常でも、『グラフィック』を用いれば、言葉だけでは表現しきれない人の想いを伝えることができ、それを “共有” できます。わかり合えるということは、心が安心することなんです」

 

 一度はあきらめた絵の才能でしたが、これなら得意なこと、好きなことで貢献できると、山﨑さんは自分の使命を見つけた気がしました。

 

 2020年、描き手を育成するための「日本イラスト通訳コーチ協会」を立ち上げ、また2022年1月には、400億円企業からスカウトされ、大阪で「グラフィックテラー」社を設立。会議や商品コンセプトのグラフィックレコーディングを広めています。最近は省庁や行政の仕事も多く、厚労省が主催する『地域づくり加速化事業』のアドバイザーも務めていらっしゃいます。

 

――今後の夢や目標はありますか?

 

「描いて視れば、わかり合えることが増える。描いて通訳することで、この世から、【いじわる】や【あきらめ】をなくしたいと思っています。そのために、各市町村に1つはグラレコ教室があればと考えます。物事を描いて伝える人が増えたら、誤解も消え、いじめやあきらめのない社会がやって来ると信じているんです。

 

 子供時代、絵を描くをあきらめてしまった大人たちがこの日本にはたくさんいると思います。私もその一人でした。絵を描くことが単なる趣味や遊びで終わらず、ビジネスや社会貢献の場で採用される時代が到来してほしい。

 

 あらゆる人の可能性を愛せる社会になるため、心の対話のひとつにイラスト通訳が広がったらいいなと思っています」

 

 イラストがビジネスになるのなら、子育て中のお母さんたちも自宅で仕事ができますね。社会の高齢化も後押しとなり、グラフィックレコーディングは、これからますますビジネスや教育の現場で普及していくことでしょう。

 

■ “好き” の才能を仕事にする3カ条

 

(1)人から『すごいね』と褒められたり、評価されたことを深掘りしてみる
(2)好きのために苦手なことも『簡単♪簡単♪私には楽勝』と口にしながらやってみる
(3)思考とTo Do(やるべきこと)をノートに書きだし、叶えるための行動を毎日1%でいいからやり続ける

 

日下千帆(くさかちほ)
1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も

( SmartFLASH )

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