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月9はさんざんで……『やすらぎの郷』が暴いた業界タブー

芸能・女子アナ 投稿日:2017.06.20 11:00FLASH編集部

月9はさんざんで……『やすらぎの郷』が暴いた業界タブー

『やすらぎの郷』撮影に向かう石坂浩二

 

【「テレビを今のようなくだらないものにしたのは、テレビ局そのものだからさ」】(第2話より)

 

 石坂浩二(75)演じる脚本家の菊村栄にそんな際どいセリフを語らせるのは、倉本聰氏(82)脚本の『やすらぎの郷』(テレビ朝日系)だ。

 

 昼の12時半スタートにもかかわらず、視聴率が8%を超え、テレビ界は騒然となった。団塊の世代を取り込んだことがヒットの要因だ。

 

「視聴者は俳優たちが歩んできた人生に自分の人生を投影している。だから、同世代の彼らがドラマの中で輝いている姿を見つけると、嬉しくて観てしまう」(芸能評論家・肥留間正明氏)

 

 タブー無視の脚本も人気の秘密だ。

 

 テレビ界に貢献した者だけが入所できる老人ホーム「やすらぎの郷」。そこに脚本家の菊村が入ると、苦楽をともにした懐かしい顔が待っているのだが、演じる石坂にとっても同じようで……。

 

「主要登場人物である2人の元大物女優を、元妻の浅丘ルリ子と元恋人の加賀まりこが演じている」(芸能プロ幹部)

 

 奇跡の3ショットのほかにも、驚きのキャスティングがたくさん。

 

「八千草薫と加賀は川端康成の寵愛をめぐってライバル関係にあった。そんな八千草の宝塚の後輩である有馬稲子は市川崑と思しき映画監督との不倫を日経新聞の『私の履歴書』で告白している。一方、石坂と浅丘は市川チルドレン……昔だったら共演NGな組み合わせばかりだが、時がすべてを水に流したということだ」(同前)

 

【「ここ(湾岸テレビ)の月9枠はさんざんで起死回生を狙っているんでしょう。フクハラヒデタダ、キヨノブ、オカケン。人気タレントをずらりと並べて……」】(第14話より)

 

 湾岸テレビからの脚本の依頼が菊村に入る。人気俳優を集めた大型企画だが、「この手のドラマにはもう興味はありません」とにべもなく断わる。

 

「倉本さんは当初フジテレビに企画を持ち込んだが、フジはほとんど検討をしないまま断わった。その恨み節がこめられている」(制作会社関係者)

 

 福山雅治、キムタク、松ケン……。出演予定の俳優の名は、フジの月9に出そうな人に似ているのは気のせい!?

 

【「一時週刊誌に死亡説が流れたりして。あっ……いや、一部の、最低の週刊誌で」】(第28話)

 

 菊村は藤竜也(75)演じる高井秀次にこう語りかける。もちろん死亡説が流れたことのある高倉健さんがモデルだ。倉本氏は健さんと親交があった。

 

「ほとんど話さないので、間を持たせるためにこっちがおしゃべりになってしまう。老いを見せないため、密かに髪を染めているなどは健さんのエピソードそのまま。“秀さん”は女優を脱がして絵を描くのが趣味なのだが、これは裸婦を描いて二科展に入賞した石坂さんからきている」(ベテラン放送作家)

 

【「我々の著作物は、昭和48、9年以前のものは、まったくないんです! もう捨てられてしまったんです。これは大きな犯罪です! まったく許せないテレビ業界の所業です」】(第40話より)

 

「かつて局で使っていた2インチVTRは高価だったので、上書きして使っていた。まだ、コンテンツの二次利用とかの発想がなかった時代。倉本さんの作品も多くが失われた」(キー局局員)

 

【「先生ぇ、紫綬褒章までお取りになってんのに、それくらいの想像力が湧かないの?」】(第7話より)

 

 菊村が処女を失った女の気持ちを問われ、わからないと答えると、五月みどり(77)演じるベテラン女優がピシャリ。倉本氏は紫綬褒章の受章者。演じる石坂を揶揄する場面もある。

 

【「だって、テレビでなんとか鑑定教室でゲストに出てらしたでしょ」「いや、あれは知ったかぶりしてただけですから」】(第10話より)

 

 今後も、大俳優と大脚本家のタブー無視の戯れは続く。

 

(週刊FLASH 2017年6月13日号)

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