ーー天真爛漫三上。
そう彫られた手鏡をフジテレビの三上真奈アナウンサー(33)に贈ったのは、3期先輩の山崎夕貴アナウンサー。2018年に、三上アナが朝の情報番組『ノンストップ!』のMCを、山崎アナから引き継ぐことが決まったときのことだった。
「それまで『ノンストップ!』に山崎さんがいてくれたから、私は安心して料理コーナーをやってこられたような気がしていました。ですから、私が山崎さんのポジションになるなんて1ミクロンも考えたことがなくて……。こういうときによく “喜び半分、不安半分” といいますが、私の場合は、不安100%でした」
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番組担当の辞令を受けて、すぐに山崎アナに相談に行ったという。
「私の顔を見るなり山崎アナが『大丈夫? 私、三上が不安のあまり泣いちゃうんじゃないかと心配してたのよ』って言ってくれて。『頑張ります』と答えたものの、はたして自分にMCが務まるのかと……」
そんな気持ちで迎えた2018年3月の「女子アナ3人!日光旅」のロケ。ともに番組を作ってきた、松村未央アナも交えて春の日光を巡り、山崎アナ自ら彫刻刀を手に彫ってくれたのが、この手鏡だった。
「就活のときは、アナウンサー志望というより、フジテレビ志望だったんです。面接で『一般職も受けます』と言った覚えがありますし。結果的に、アナウンサーのほうで先に内定をいただいたのですが、採用が決まってから、初めてアナウンサーという仕事と向き合った感じだったんです。ですから、カメラの前に立つようになっても、いただいた仕事に応えられていない、番組に貢献できていなくて申し訳ないという気持ちでいっぱいで……苦しかったです」
そんなタイミングで『ノンストップ!』のMCを引き継ぐにあたって、尊敬する山崎アナから贈られた言葉は「三上のよさは天真爛漫なところだから、私がやっていたことは忘れて、三上真奈らしくやればいい」。
隣に、バナナマンの設楽統がいてくれたことも心強かったという。
「設楽さんは、何もおっしゃらないけれど、私が失敗してもそれを笑いに変えてくださり、常にフォローしてくれました。『自分をよく見せようとせず、等身大でここにいればいい』と、教えてくださったように思います」
いつしか迷いは消え、今はアナウンサーという仕事に就けて幸せだという。
「とにかく、アナウンス室が最高なんです! びっくりするくらい仲がいい。ずーっとしゃべってます(笑)。もちろん、会社にいるときは先輩後輩という関係ではあるのですが、一歩社外に出ると、姉妹のような、友達のような関係ですね。アナウンス室の仲間がいてくれたから、なんとか続けてこられたのだと思います。コロナ禍前は、よく飲みに行ったりもしていました」
三上アナが『ノンストップ!』のMCを務めて5年。その半分以上が、コロナ禍での生放送だ。
「最初の1年くらいは、ロケ取材もできなくて、どんなふうに番組を作っていったらいいのだろう……と、みんなで試行錯誤しましたね」
出演者同士の距離がだんだん離れ、間にはアクリル板が設置された。
「今、コロナ禍前の写真を見るとびっくりしますね。みんなの距離が近くて、まるで家族みたい(笑)。出演者やスタッフの顔をしっかり見ながら番組作りができる日が、早く来るといいですよね」
『FNS27時間テレビ』の提供読みでデビューしてから、今年で10年。
「ひとつの節目だと思いますが、私は目標を立ててそこを目指すというより、今、目の前にあることを全力で頑張るタイプなので、これからもいただいたお仕事を一生懸命やっていきたいと思っています。そうすることで、新人のころにご迷惑をかけた皆さんに、恩返し……はできないかもしれないけど、もう心配をかけないようにしたいです(笑)」
プライベートでは、昨年1月に結婚。『ノンストップ!』の中で自ら報告した。
「今年は感染が少し落ち着いたタイミングで、夫と伊勢神宮に旅行に行きました。お天気にも恵まれて、設楽さんに教えていただいたお店に行ったりして、リフレッシュしてきました」
楽しいときも、つらいときも、嬉しいときも、山崎アナからもらった手鏡は、三上アナを見守ってきた。
「すごく使いやすいんですよ。お猿さんの絵もかわいいし。でも、大切なものなので自宅に置いてます。私、忘れん坊なので、会社のメイク室に持って行くとなくしちゃいそうで怖いんです(笑)」
後輩がたくさんできても結婚しても、 “ミカパン” の天真爛漫な笑顔は、やっぱり最強だ。
みかみまな
1989年4月7日生まれ 東京都出身 2013年にフジテレビ入社。『めざましテレビ』『ミカパン』のMCなどを経て、現在『ノンストップ!』(毎週月曜~金曜、9時50分~11時25分)のMC、『魔女に言われたい夜』(毎週月曜25時35分~26時)のナレーションなどを担当
写真・中村功
取材&文・工藤 菊香