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『どうぶつ奇想天外!』希少生物求めて30カ国、デンキウナギで感電の危機も/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.04.30 16:00 最終更新日:2023.04.30 16:00

『どうぶつ奇想天外!』希少生物求めて30カ国、デンキウナギで感電の危機も/女子アナ日下千帆の「私にだけ聞かせて」

日下アナ(左)と樋江井さん

 

 YouTubeなどの動画サイトでは、かわいい動物や珍しい生物の動画が、子供から大人まで大人気です。ペット動画を配信してみようと考えている方も多いのではないでしょうか?

 

 今回、お話を伺ったのは、絶滅危惧種や、人間や馬をも一撃で倒す危険生物など、希少な野生生物の映像を求めて5大陸30カ国を取材した樋江井彰敏さん。YouTubeチャンネル『どうぶつ奇想天外・WakuWaku【TBS公式】』プロデューサーです。

 

 

 樋江井さんは、1993年、TBS入社。『サンデーモーニング』や『そこが知りたい』を経て、1997年に『どうぶつ奇想天外!』を担当。その後、25年にわたり、動物や科学に関する取材を続けています。

 

――TBSには、野生動物の映像がたくさんあるそうですね?

 

「はい。『わくわく動物ランド』『どうぶつ奇想天外!』などで、40年以上にわたって撮影してきた世界中の野生動物たちの貴重な映像がたくさんあります。おそらく、日本の民放では一番でしょう。

 

 こうした番組は、動物たちが主役。『なんでこんな動きをするんだろう?』『どうしてこんな姿をしてるんだろう?」と、動物たちの不思議にこだわった貴重な映像です。

 

 私も、好奇心に突き動かされて、見てみたい野生の世界を撮影してきました」

 

――具体的にどのような映像があるんですか?

 

「たとえば、サバンナの野生犬リカオンのハンティング、狩りの映像があります。1987年に『わくわく動物ランド』で放送されたものですが、撮影したセレンゲティ平原では、リカオンはほぼ全滅したと言われていて、もう2度と撮影できないと思います。

 

 ほかには、グリズリーの親子がホッキョクジリスの巣穴を掘って、リスを捕獲するまでの撮影に成功しました。おそらく世界で初めての撮影で、撮影地はアラスカのデナリ国立公園でした。

 

 イギリスの公共放送BBCの動物カメラマンが5年追い続け、そのときはキャンピングカーの上で一緒に撮影していたのですが、BBCチームは直前でフィルムが終わってしまい、決定的瞬間を取り損ねたのです。

 

 あとで私たちの宿泊していたロッジまで来て、『購入させてほしい』と交渉に来ました。この映像は、2002年に『どうぶつ奇想天外!』で放送されています」

 

――危険な目にあったことも多いのではないですか?

 

「キャンプ・野宿をするので、危険だったことはたくさんありますよ。

 

 危険な撮影では、800ボルトの電撃を放ち、人や馬、ワニをも一撃で倒すアマゾンのデンキウナギに水中カメラマンが急接近され、あわや感電というときもありました。

 

 内戦の爪あとが残るコンゴ民主共和国では、国連軍の車列にまぎれて移動し、AK-47(自動小銃)を持った10人ほどのレンジャーとゴリラを撮影しました。

 

 ボツワナでは、寝ているテントの周りをライオンがうろうろしていました。エチオピアでは、標高4000mで腎臓結石をおこしてしまい、現地の小さな病院に行ったら、なぜか分娩台に乗せられ、極太注射を打たれそうになったので、もう治ったと言って逃げだしました。その夜はホテルでサソリに刺され、両方とも痛くてたいへんでした。

 

 ホッキョクグマの撮影では、無人島に3週間滞在しました。島には、4000頭のセイウチ、10頭くらいのホッキョクグマしかいない状態でした。ときどき、寝ていた小屋の壁や扉をクマがガリガリひっかくので、夜中に何度もたたき起こされました」

 

――5大陸30カ国を取材されたそうですが、出国前の予防注射など、健康管理は大変だったのではないですか?

 

「予防注射は、5種類以上打っています。ブースターを含めて10本ほどを1度に打ったこともあります。黄熱病、狂犬病、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、コレラ、などです。それでも、現地で目が真っ赤になって発熱するなど、原因不明の症状が出ることもあります。帰国してから、熱帯医学の研究室がある病院によくお世話になっていました」

 

――取材時には現地の人たちと交流することもあるのですか?

 

「現地の方々の協力がなければ、いい映像は撮れません。たとえば、チーターの取材時、視力のいいマサイのガイドがいなければ、遠くから茂みに隠れている姿を見つけることはできません。

 

 また、アマゾンの熱帯雨林でヒメアリクイの取材をしたときは、現地の定期船を貸し切りにしたところ、船内に売店があることを知っている現地の子供たちが『コーラを飲みたい』とねだってきました。

 

 そこで、冗談半分に『ヒメアリクイの居場所を見つけてきて』と頼んだら、7カ所も見つけてきてくれたので、驚きました! 喜んでコーラとご飯をごちそうしました。

 

 そういえば、科学番組の撮影でイスラエルのガザ地区に入ったとき、オーダーしたLLサイズの防弾チョッキが届かず、Lサイズしかなかったんです。現地の子供たちから、はみ出したお腹を指さされ『ここが危ない』なんて心配されたこともあります。

 

 海外ロケでは、いつも現地の人へのお礼として、スタッフ手作りの日本食をふるまったりしています。タバコや日本のお菓子も喜ばれますね」

 

――樋江井さんたちが40年以上にわたって撮影してきた貴重な映像が、いまはYouTubeでいつでも見られるそうですね?

 

「はい。2020年10月から、YouTubeチャンネルを始めました。かわいいものから珍しいものまで、自由研究に役立つものも取り揃え、現在600本ほどの動画をご覧いただけます。毎週4回は新しい動画もアップしています。

 

 動物はかわいいだけでなく、危険なものも存在します。そして、自分の身を護るため、襲ってくることもあります。子供たちには動物のことを少しでも知ってもらい、正しい距離を取って正しく付き合う大切さを伝えたいです」

 

■動物ロケ成功の秘訣3カ条

(1)地元の協力者と仲よくなる
(2)動物は予想外の行動に出るので油断しない
(3)持久戦は体力との駆け引き。いつやめるかの決断が大事

 

「現地の言葉で(1)出発、(2)静かに、(3)ご飯、(4)帰ろう、(5)ビール、(6)領収書の6つの単語は必ず覚えるようにしています(笑)」

日下千帆

1968年、東京都生まれ。1991年、テレビ朝日に入社。アナウンサーとして『ANNニュース』『OH!エルくらぶ』『邦子がタッチ』など報道からバラエティまで全ジャンルの番組を担当。1997年退社し、フリーアナウンサーのほか、企業・大学の研修講師として活躍。東京タクシーセンターで外国人旅客英語接遇研修を担当するほか、supercareer.jpで個人向け講座も

( SmartFLASH )

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