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驚きの「スーパーレプリカ」で古代エジプト・ツタンカーメンの世界を “実体験”/女子アナ横井弘海の「エンタメ時間」
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2023.07.01 16:00 最終更新日:2023.07.01 16:00
埼玉県所沢市の角川武蔵野ミュージアムで、「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」(以下、「ツタンカーメンの青春」)が始まりました(~11月20日)。
古代エジプトの世界と言えば、考古学者をとりこにして、いまだに研究・発掘作業が続き、世界中から観光客が舞台のエジプトに押し寄せてきます。
歴代の王のなかでも、ツタンカーメンは若くして亡くなった悲劇の王として特に有名です。3000年以上前、ツタンカーメンは父・アクエンアテンの後、わずか8~9歳でファラオ(紀元前1332年頃から1323年頃まで在位)を継ぎ、19歳で亡くなったとされています。
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昨年は、考古学者のハワード・カーターがツタンカーメンの王墓をほぼ無傷な形で発見してから100年の年。エジプトの首都カイロ近郊のギザに近々開館予定の大エジプト博物館には、有名な「黄金のマスク」はじめツタンカーメンの全遺物が展示されるそうですが、なんと5000点あるとも言われています。
私も古代エジプトのロマンに魅せられて、何度かエジプトを旅したことがありますが、この展覧会にはびっくり!
実は本物の発掘品、美術品はひとつもありません! それなのに、いつのまにか古代エジプトの世界に引き込まれるのです。
展示されるのは、世界に3セットしかない「超複製品(スーパーレプリカ)」。有名な黄金のマスクや王座のほか、王墓に収められていた埋葬品のうち約130点を精巧に再現しています。
あわせて、本物を「ワールド・スキャン・プロジェクト」の最新技術によってスキャニングした高精細デジタル映像とともに、「HISTORYはSTORYだ!(歴史の中には物語がある)」をコンセプトに展開。青春時代を王として過ごした若きファラオ・ツタンカーメンの短い生涯がどのようなものだったのかが没入体験できます。
レプリカだからこそできる展示の数々に「へぇー」と感心することしきり。現在、国外不出となったツタンカーメンのマスクや厨子といった副葬品の数々は、エジプトではガラスに覆われていますが、ここでは間近で見られます。
会場内中央の大空間では、壁と床にプロジェクションマッピングを投影し、古代エジプトの創生から神々の変遷をたどるとともに、ツタンカーメンの生涯を、五感で感じられる仕掛け。
会場の外には、石で覆われた角川武蔵野ミュージアムの隣にARでギザのピラミッドを映し、現代と古代のピラミッドを並べて鑑賞できるお楽しみもありました。
とにかく「精緻」という表現がぴったりの複製品の数々と最新デジタル技術の融合による「ツタンカーメンの青春」展です。
展覧会は、まず「序章ツタンカーメンの王墓」で、1922年にハワード・カーターとそのパトロンであったカーナヴォン卿が体験した “世紀の発見” を、来場者も追体験。
「第1章ツタンカーメンの青春」は、若きファラオの生活を体験できる「ツタンカーメンの日常」がテーマです。
「黄金の玉座」に立てかけられた「ヌビア人とアジア人の捕虜が柄に細工されている杖」は、ツタンカーメンがもともと足が悪かったという最近の研究をもとにした展示ですが、本物なら、秘宝に秘宝を立てかけることなどできないはずです。
3000年前、若きツタンカーメンがこんなふうに使っていたのかなぁと想像するのは楽しいことでした。
「第2章古代エジプトの死生観やミイラ」では、ミイラを作る過程で内臓を収めた人型棺やミイラを飾った王冠や護符、首飾りや金のサンダルなどが、どのように収められていたのかがリアルに迫ってきました。
「第3章古代の神聖な文字ヒエログリフ」「第4章古代エジプトの信仰」では、象形文字「ヒエログリフ」の読み方の解説に、一神教と多神教の間を揺れ動いた古代エジプトの神々の展示と続きます。
そして、中央展示は圧巻。あの「黄金のマスク」や何重にもなった人型棺や厨子などが順に並びます。短い人生ながら、ツタンカーメン王はさぞ偉大だったことが感じられました。
本展を担当した角川武蔵野ミュージアム ゼネラルプロデューサーの宮俊氏は、「会場の場所場所で、何度も『おー!』と歓声をあげてもらえるようにしたかった」と語っています。
この新しい体感型古代エジプト展に集結したのは、監修にエジプト考古学者の河江肖剰氏。空間設計デザインは、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0(ゼロ)』で日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞した上條安里氏。音楽監督に、『機動警察パトレイバー』や『攻殻機動隊』の劇場版楽曲を作曲した川井憲次氏など、各界のエキスパート。
最初は「え、レプリカ?」とスーパーレプリカに懐疑的だったという監修の河江氏も、そのクオリティの高さを認めていました。この展覧会を古代エジプトへの入口にしてほしいと考えています。
「われわれ考古学者は、研究対象として見るので、生々しさとかビビットさが欠けてしまうのですが、今回、より深く理解することができるようになったと感じています。たとえば、カーター自身は14層のミイラの層を7日間かけてはがしていったと情報としては知っていましたが、一部だけでも再現することにより、カーターのそのときの大変さと執念が伝わってきました。それが、来場者のみなさんにも伝えられればと思います」と話していました。
「エジプトに行きたいなぁ」
そんなことを感じる新しい展覧会でした。
写真
(C)WORLD SCAN PROJECT Inc.
(C)角川武蔵野ミュージアム
東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、テレビ東京パーソナリティ室(現アナウンス室)所属を経てフリー。アナウンサー時代に培った経験を活かし、アスリートや企業人、外交官などのインタビュー、司会、講演、執筆活動を続ける。旅行好きで、訪問国は70カ国以上。著書に『大使夫人』(朝日新聞社)
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