映画『一茶』には、リリー・フランキー(53)演じる俳人・小林一茶と、最初の妻・菊を演じる佐々木希(29)が2人きりで迎える、濃厚な初夜のシーンがある。
だが、佐々木が “体を張った” 演技で臨んだ映画が、予定していた2017年10月中旬に公開できない状態に陥っている。公開を妨げるものはなにか。脚本家の柏田道夫氏(63)が取材に答えた。
「出資者の『一般財団法人 日本機構』からの資金が滞りました。同機構からは、まず6500万円が提供されましたが、2016年末から資金が途絶えたのです。映画の代表プロデューサーの松田貢氏に聞いても『お金を入れるからもう少し待ってくれ、と(日本機構から)言われている』と繰り返すばかり」(柏田氏)
「日本機構」は、文化事業などを支援する名目で設立された財団法人。柏田氏によると、同機構は再三の要請に、『一茶』の製作委員会に宛てて2017年1月30日付で文書を提出。「3月末日までに必要な事業資金(3億円)を準備する用意ができた」と報告したという。
しかし、今に至るまで資金は未払いだ。松田氏は資金集めに奔走したが、製作会社ともども破産した。撮影は長野県飯山市を舞台におこなわれ、地元の観光協会も協力していた。
「撮影時の宿泊代や弁当代、ロケセットを組んだ廃校の体育館の電気水道代まで、当方が計1600万円弱を立て替えました。松田さんとは債務確認書を交わしていますが、撮影開始当初の2016年9月からずっと未払いのままです。柏田さんたちとも協力して、公開実現に尽力したい」(信州いいやま観光局)
俳優・スタッフへのギャラ、衣装代などもすべて未払いだという。松田氏の製作会社の関係者は、日本機構に信頼を寄せたことを後悔していた。
「文部科学省のお墨付きがある法人だと思いこんでいた。4月以降に資金を出すという言葉を信用してしまった」
日本機構に取材を申し込んだが、返答なし。松田氏は代理人を通じ「答えられない」。配給会社だったKADOKAWAは「8月末日に契約が切れており、話す立場にない」と回答した。
「映画は最後の編集作業が残っていて、完成していません。監督の吉村さんは映画の最終カットにオーケーを出したのち他界。監督の遺作でもあり、なんとしても公開したい。リリーさんも自ら資金を出されているようです。10月26日に裁判所から『来年2月に債権者集会を開くので、債権申し立てをしてほしい』という連絡がきました」(柏田氏)
10月25日には、柏田氏をはじめスタッフで「映画『一茶』を救う会」を結成、新たなスポンサー探しに乗り出した。監督の遺志も新妻の “艶技” もお蔵入りさせてはならない。
(週刊FLASH 2017年11月14日号)