芸能・女子アナ
『バイプレイヤーズ』ロケ現場で見せた大杉漣さんの優しさ
芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2018.02.22 15:30 最終更新日:2018.02.22 15:50
俳優の大杉漣さんが、2月21日、急性心不全のため亡くなった。66歳だった。
本誌は、今週号で大杉漣さんと遠藤憲一、松重豊による『バイプレイヤーズ』対談を掲載しているが、担当記者が、撮影現場の様子を振り返る。
『バイプレイヤーズ』2月7日のロケは、東京湾を見下ろす千葉県内の高台で行われていた。
数日前に対談を終え、取材に駆けつけた本誌記者とカメラマンに、すれ違いざま「寒いなか、大変ですねえ」と丁寧な口調で笑顔を浮かべながら声をかけてくれたのが、工事現場の作業員風の衣装を着た大杉漣さんだった。
その後も大杉さんは、歩きながら撮影スタッフに気さくに声をかけ、笑い合っていた。
『バイプレイヤーズ』の撮影現場は、緊張の中でも笑いが絶えないことに驚かされた。
たとえばセットを変える待機時間、大杉漣、遠藤憲一、松重豊、田口トモロヲ、光石研たちがヒソヒソささやき合い、なにやら笑っていた。
聞き耳をたてると「京都府は日本海に面している」という話題で盛り上がっていた。「そうなの? そんなに広かったっけ?」と誰かが言うと、大杉さんは渋い声で「そうそう、京都は広いんですよねえ」と笑顔でうなずいていた。なぜ「京都ネタ」で笑い合えるのか不思議だったが、5人には5人の「面白さ」があったのだろう。
そして、5人がセリフの中に「たぶん」という言葉を見つけた。すると遠藤さんだったと思うが「たぶんって、英語でパハップスだよね」と言うと、「そうそう、中学で習ったよね。懐かしいなあ」と大杉さんが応じ、5名は「パハップス! パハップス!」と連呼しながら大笑いしたのだ。
「いつも他愛のないことを話しています。皆さんが聞いたら『小学生か』って笑っちゃうと思いますよ」と大杉。テレビ東京の広報担当も「女子高生のようですよね。箸が転んでもおかしがると思います」と笑っていた。
大杉さんは自分から笑いのネタを振ることはあまりない。そしてほとんど集まりの中心にいない。いつも一歩引いたところから他の4人を見つめ、「うん、そうだよね」と笑顔を浮かべ、合いの手を入れる程度だ。スタッフは「大杉さんは聞き上手なんですよ。お酒の席でもニコニコと聞いていることが多い」と語っていた。
4人が口を揃えて「漣さんは兄のような存在」と言っていたことが納得できた。確かに4人を優しく見守る兄の目だった。
その優しい眼差しは、我々マスコミに対しても同じだったと思う。芸能人のインタビューは、往々にして「禁止の質問」がある。今回の座談会でも「この質問はちょっと……」という部分が事前の打ち合わせであった。それでも現場で手を変え品を変え聞くと、大杉さんは嫌な顔をせず笑顔で答えてくれた。
ある俳優が、下積み生活が長かった大杉さんのことを「共演者、スタッフ、ロケ先の人など誰にも気を使い、そしてみなさんに対して尊敬の思いを忘れない人」と評していたが、そのことを知った今回の密着取材だった。