芸能・女子アナ
元日テレ・永井美奈子アナ、女子オーケストラの理事長に! 伝える「原点」は福留功男からのひと言だった

永井美奈子が理事長を務める「東京女子管弦楽団」霞町音楽堂で
参院選ではフェイクニュースが飛び交い、SNSが世論を揺さぶった。そんな今、テレビでニュース報道を支えた人気キャスターが「現場」から語る。「バズる」よりも大切なのは、カメラの向こうに「伝える」矜持なのだ!
「当時の朝の時間帯は、NHKの一人勝ちでした。『ジパングあさ6』(1992~1996年出演)は、その牙城に挑む番組だったのです」
日本テレビの同番組の初代キャスター・永井美奈子(60)はそう振り返るが、朝の番組に精通したスタッフが、視聴者の欲する情報を徹底的に研究して作ったものだった。
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「ニュース、スポーツ、エンタメ、天気予報。この4つを20分でまわすルーティンを作ったんです。提携している米放送局のNBCが、その仕組みを導入するほど画期的なものでした」
その甲斐あって、『ジパング』は、朝の時間帯で視聴率トップを獲得。だが、そのわりに低コストだったとか。
「毎朝、放送前に新聞全紙に目を通し、記事を切り貼りして赤ペンを入れて、番組で読み上げるんです。新聞紙面を紹介するコーナーの元祖的な存在でした。まさに “必要は発明の母” でしたね(笑)」
印象に残っているのは阪神・淡路大震災の取材だ。
「震災当日に現地に飛びました。翌日も携帯電話がつながらず、煌々と照らされた照明を頼りに、中継現場に駆けつけたのは放送開始5分前。地震や被害の規模もわからないなか、トメさん(福留功男)に『お前はメインキャスターだろ、やれ!』と励まされ、次々と入る情報と、目で見た状況を話し、中継をつなぎました」
永井がいま情熱を注いでいるのが、クラシック音楽だ。昨年5月には、日本初の女性だけのプロオーケストラ「東京女子管弦楽団」の理事長に就任。しなやかで美しい音色を届けたいと、女性音楽家の活動を支える “受け皿” を目指している。
「女性の金管楽器は、ボリュームでは男性に負けるかもしれません。でもなんともいえないすばらしい音色を奏でるんです」
そして8月3日、東京・サントリーホールで開催されるクラシックの夏フェス「音夏(おんなつ・霞町音楽堂夏フェス)」では、プロデューサーとしてブッキングや台本、広報から配信まですべてを統括。コロナ禍で仕事を失った音楽家を支援するために2020年に立ち上げ、今年で6回めを迎える。
「演奏だけでなく、音楽家を “人” として知っていただきたくて、私が事前に彼らを3時間インタビューし、半生を振り返るドキュメンタリーを作ります。お客様が演奏とトークを通じ、その音楽家のファンになって帰ってくださることに、すごくやりがいを感じるんです。私の手作り感満載ですので(笑)、ぜひ足を運んでみてください!」
永井美奈子
1988年、日本テレビ入社。1996年の退社後は、フリーアナウンサーとして活動するほか、成城大学文芸学部非常勤講師も務める
写真・福田ヨシツグ
取材協力・霞町音楽堂