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インタビュー中に涙も…浜崎あゆみ『M』著者が明かす舞台裏

芸能・女子アナFLASH編集部
記事投稿日:2019.09.06 06:00 最終更新日:2019.09.06 06:00

インタビュー中に涙も…浜崎あゆみ『M』著者が明かす舞台裏

 

《自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました》

 

 浜崎あゆみがコメントを寄せた、「小説」が話題だ。8月1日の発売以来、「これは暴露本か」という論争が巻き起こっている。

 

 その小説とは、この夏、幻冬舎から突如発売された書籍『M 愛すべき人がいて』。同書では、かねてより噂があった浜崎あゆみ(40)と、エイベックス代表取締役会長CEO・松浦勝人氏(54)の20年前の大恋愛や、歌姫誕生の過程が赤裸々に描かれている。

 

 

「……あゆで、大丈夫でしょうか」


 前を向いたまま、その人は言った。


「大丈夫だよ、俺を信じろ」


 今度は左にいる私の方を向き、目を見て言った。


「俺がお前をスターにするよ。これまでの誰とも違うスーパースターに」


(『M』より)

 六本木のディスコ「ヴェルファーレ」(2007年閉店)のVIPルームで運命的に出会った2人は恋に落ち、歌姫とプロデューサーとして成功の階段を昇っていくのだが、その恋は終わりを迎える。

 

《二人で作り上げた『浜崎あゆみ』は、マサにも、あゆにも、手に負えないモンスターになってしまったね。(中略)ねえ、マサ……》(同)

 

 同書は、「令和最初の暴露本」ともいわれ、すでに14万部を売り上げるベストセラーになっている。浜崎あゆみと松浦勝人の両氏に取材を重ね本書を執筆した、作家の小松成美氏に話を聞いた。

 

「ワイドショーなどでは『暴露本』と報じられていますが、読んでいただければ、まったく違うとわかるはずです。本書はあくまでも『事実をもとにした文芸作品』です。

 

 私の職業がノンフィクション作家だからこそ書けた『ドキュメンタリー小説』、もしくは『ノンフィクション小説』だと思っています」(小松氏、以下同)

 

 執筆はどのようにして進められたのだろうか。

 

「形式は一人称小説ですが、手順としては通常のノンフィクション作品のように、浜崎さん、松浦さんを含む周辺に10カ月間の取材をおこないました。お2人ご一緒に、また個別でもインタビューさせていただきました。

 

 お2人は完全に合意したうえで、私に交際前から別れまでの過去をすべて話してくださり、それを私が、当時の浜崎さんの視点で、『小説』という形で作品にさせていただきました」

 

 小松氏は、取材に臨む2人の姿勢に感銘を受けた。

 

「お2人は、かつて愛し合い、そして別れ、それでも歌手としてずっと歌いつづけ、それをプロデューサーとして支えるという道を選びました。いまも、ともに戦っている、“完全な同志” なんです。

 

 ですから、お2人とも過去のことを話すことに、まったく躊躇や揺らぎがない。暴露、という次元の話ではないんです。原稿にも、修正はほとんど入らない潔さもありました」

 

2人がVIPルームで出会った、六本木ヴェルファーレ

 

 意外なミーティングの場をきっかけに、2人の過去の恋愛は、書籍化されることになった。幻冬舎の担当編集者はこう語る。

 

「浜崎さん、松浦さん、そしてサイバーエージェント社長の藤田晋さんが一緒にいる場で話が盛り上がり、その場で藤田さんが弊社の見城(徹社長)に電話を入れて、企画が動きだしたそうです」

 

 その後、著者として指名されたのが、イチローや中田英寿など、ビッグネームを取材してきた小松氏。執筆にあたり、「どうしても書きたいテーマがあった」という。

 

「『浜崎あゆみという平成の大スターの誕生と、その背景にあった2人の恋愛を書きたい』という気持ちがありました。あの名曲『M』がどうやって生まれたのか。2人の2年あまりの物語を描くことが、平成という時代そのものを描くことにも繋がると思ったんです」

 

 ノンフィクションではなく、小説というスタイルを選んだ理由を小松氏はこう語る。

 

「ノンフィクションの場合は、登場する人が実在の人物なので、ある人の都合で書けない場合もあります。そのときは、シーンを丸ごと割愛しなければなりません。小説にして登場人物を絞ったことで、そういった障害がなくなりました」

 

 同書に登場する人物は、浜崎、松浦氏のほかはマネージャーなど数人しかいない。登場人物を絞ることで、物語性を浮き上がらせたという。

 

「また、FAXで文通するシーンがありますが、当時は感熱紙ですし、いま残っているはずがありません(笑)。ノンフィクションでは一言一句の再現が重要ですが、小説である本作では、そこを作家に託していただいています」

 

 とはいえ、2人の記憶は鮮明だったという。

 

「20年以上も前なのに、『この曲のリリースが◯月◯日だから、このときは……』と、非常に具体的に話されるので驚きました。

 

 ある悲しいエピソードに関して浜崎さんに質問すると、彼女が一度だけ、インタビュー中に涙を流されたことがありました。まるで昨日のことのように……。

 

 本作では40歳である現在の浜崎さんからの視点でなく、あくまでも10代の、当時の浜崎さんの視点で書きました」

 

 幻冬舎に届く読者カードには、絶賛のコメントが多いというが、ワイドショーやネット上では、否定的な意見もある。

 

「『なぜ、長瀬智也さんとの交際を書かないのか』などの声もあるそうですが、私自身は、あくまで松浦さんとの関係性と、名曲『M』の誕生までの時代を描きたかったんです。

 

 お2人が別れて以降のお話は、取材でも伺っていませんし、続編などで描く予定もありません。本書の冒頭と巻末に、現在の2人の様子を書かせていただき、物語は私の中で完結しているのです」

 

 また、松浦氏は既婚で、現在の家庭がある。いまになって過去を蒸し返すような本を出すことへの批判もあった。

 

「松浦さん自身、批判を受けることは覚悟していらっしゃったと思います。『時代を大きく動かそう、新しい時代を作ろうと思ったら、絶対に反発を受ける。それは理解しています』とおっしゃっていました」

 

 熱心なあゆファンにとっては、『M』の真意が「マリア」でなく「マサト」だと明かされる衝撃的な記述もある。

 

「テイラー・スウィフトなら、別れた彼に向けたような個人的な歌も許されるのに、浜崎さんだと世間に非難されるのはへんじゃないですか(苦笑)。

 

 本書では、浜崎さんの曲の歌詞を、さまざまな場面で挿入しています。名曲が生まれた背景を、答え合わせをするように読んでいただければと思っています」

 

 最後に、小松氏はこう語った。

 

「2人の交際期間は1年半なのですが、多忙な2人が恋人として一緒に過ごしたのは、じつは数十日だけなんです。ひとりの少女がスターになる過程で、そんな恋に悩み苦しみながら、次々と名曲を生み出していく、壮絶な創作の時代を書きたかったんです」


こまつなるみ
1962年生まれ 神奈川県出身 ノンフィクション作家。中田英寿、イチロー、YOSHIKI、十八代目中村勘三郎など、多数の著名人に取材し、作品を執筆。著書多数

 

(週刊FLASH 2019年9月17日号)

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