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女流落語家・立川こはる「落語の所作には、踊りと歌が役に立つ」

芸能・女子アナ 投稿日:2019.10.20 16:00FLASH編集部

女流落語家・立川こはる「落語の所作には、踊りと歌が役に立つ」

おっかなびっくり持たないで、お扇子はあなたの手よ」(尾上五月師範)

 

●日本舞踊は10年選手…修業で「やらなきゃいけない」が「おもしろい」へ

 

 元来の勉強好きが高じ、大学院に進学した彼女。1年めの終わり頃、研究を続ける道と落語へのあこがれを天秤にかけ、大好きだった研究を捨てる決意をした。しかし、落語家になってからも、彼女の “学究肌” は変わらなかった。

 

「立川流の昇進試験の必修科目のなかに、『歌舞音曲』と『端唄』がありました。つまり、踊りと歌ですね。私は運動と歌が音痴でしたので、『ヤバイな』と思って、自分で先生を探して、日舞(日本舞踊)と三味線のお稽古通いを始めました。

 

 日舞はそのときから10年以上、いまでも元宝塚歌劇団にいらした尾上五月先生(旧芸名・五月梨世)にご指導をいただいております。全然上達しないので申し訳ない限りですが……数年に1回は、発表会にも出演させていただくんです」

 

 稽古場では、流れる風雅な音楽とは反対に、先生からの厳しい声が響く。

 

「膝の角度より外に、つま先を開いたらダメ」
「右手と左手が同じように使えないと」
「間違えたら、自分でリカバーできるようにならなきゃ」

 

 熱心に指導をする、日本舞踊尾上流の尾上五月師範は、こはるの芸事への “姿勢” について、こう語る。

 

「こはるさんは、器用ではないですけれど、すごくまじめで探究心も旺盛。言われたとおりに、腐らずきちんと練習を続けています。最初に踊ったのを見たときは、どうなることかと思いましたけど(笑)、これからもっと楽しくなるはず。

 

 日本舞踊も落語も同じですが、伝統的なものは時間がかかります。芸事はキレイなのぼり坂ではなくて、上達が見えにくいなだらかな坂の時期が続いて、あるとき急に波のように上っていくもの。彼女はまだこれから。踊りも落語も楽しみですね。

 

 でもひとつだけ。落語って前のめりで話すから、背中の意識が低くて猫背なんですよ。それで、こはるさんはこんなに細いのに、背中にだけ、ぜい肉がついている。人生に影響はないけど、日舞を通じて正しい姿勢を身に着けたほうが、紋付袴で出るときに格好いいわよ」

 

「お酌は、こうすると色っぽいんですよ」

 

 こはるが日舞を続けるには、理由があった。

 

「日舞で所作を学んでおくと、落語の見せ方に奥行きが生まれるんです。たとえば、女性が男性にお酌をするシーン。ふつうにやると、徳利を出す手と一緒の方向に顔も出てしまうんですが、江戸時代の女性は頭が大きいから、月明かりで手元が隠れないように、首を反対に傾けるんです。

 

 最初は前座修業で『やらなきゃいけないこと』でしたが、ある程度続けると、おもしろいし落語にも活きる。『昇進試験のためだけで終えてしまうと、もったいないこがたくさんあるな』と実感したんです」

 

またあるときは、男装アイドル

 

●「目の前の池に落ちる」芸人魂でアイドル活動も

 

 9月17日、『日経新聞』の夕刊文化面に、こはるが登場した。落語家、講談師、太神楽と異なるジャンルの伝統芸能から集まった5人の美女芸人による男装アイドルユニット「輝美男五(きびだんご)」のメンバーとして、紹介されている。

 

 上の写真は、2019年5月に同グループがプロモーションビデオ撮影をしたときの様子だ。

 

「やっと歌を覚えたのに、歌うパートがちょっと変わったり、立ち位置や踊りを人と合わせたり……。落語家ですから、個人芸は得意ですが、集団芸はどうしたらいいかわからなくなります。

 

 踊りも歌も苦手なんですけど、メンバーの『女性ファンを増やしたい』という熱意に負けて、加入を決めました。漫才やコントの芸人さんたちと違って、落語はじめ伝統芸は、とてもパイの小さな芸能。少しでも、世間の人の目にふれる機会を増やせたらと思っています。

 

 自分で考えて進んでも、頭は固まり道は狭まっていくだけです。『知らないところに連れて行ってくれるのは他人しかいない』と思っています。ですから、情熱を感じた相手のオファーはとりあえず受けてみます。

 

 先の予測は……あえてしません。たとえ目の前にとつぜん池があらわれても、喜んで落ちていくのが私の芸人道です(笑)」

 


たてかわこはる
1982年10月生まれ 東京都出身 落語立川流所属の落語家。2006年、東京農工大学大学院を中退し、立川談春に入門。2012年6月、二ツ目昇進。現在は年間230本超の高座に出演。2016年にアニメ『昭和元禄落語心中』(TBS系)で声優デビュー。以降、『まる得マガジン』(Eテレ)、『BS笑点』(BS日テレ)とテレビ出演が続く。『セブンルール』(フジテレビ系)の2019年7月23日放送回で取り上げられ、独演会は満員に。10月21日に収録がおこなわれる『NHK新人落語大賞』の本選に、2017年に続き2回めとなる出場が決定

 

※11月22日に「横浜にぎわい座 小ホール のげシャーレ」、12月15日に「新宿文化センター 小ホール」で定期独演会を開催。予約・最新情報はツイッター(@koharunokai)と公式ホームページにて

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