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3人の証言で紐解くピース又吉『火花』が生まれるまで

芸能FLASH編集部
記事投稿日:2015.07.08 06:00 最終更新日:2016.02.21 17:59

3人の証言で紐解くピース又吉『火花』が生まれるまで

 

 1人の芸人が書いた純文学作品が、話題を呼んでいる。漫才コンビ「ピース」の又吉直樹(35)。彼が芸人の世界を描いた青春小説『火花』は掲載された雑誌「文學界」2月号を異例の大増刷に導き、3月に単行本として出版されると50万部突破のベストセラーになった。 この話題作が生まれるには、又吉が出会ってきた男たちとの濃密な関わりがある。

 

 まず作中で主人公・徳永が「師匠」と呼ぶ先輩芸人・神谷のモデルではないかといわれるのが、コンビ「烏龍パーク」の橋本武志(38)だ。

 

「14年くらい前に知り合って、気づいたら、又吉に『師匠』と呼ばれていました。あいつが売れてからは『やめてくれ』って言ってるんですけど(笑)。『火花』のことは、『師匠のこと書いてます。いいですか』みたいに言われましたね。僕が上石神井の駅前に住んでいて、吉祥寺から3キロ余りをいっしょに歩いたこととか、小説に『真樹』という名前で出てくる女性と、僕がいっしょに住んでいたこととかのエピソードはホントのこと。2人のエピソードがだいぶ入っています」(橋本)

 

 作中の神谷は徳永に初対面で「俺の伝記を作って欲しい」と命じる。

 

「それはしてないです。でも『師匠をモデルに、人生を小説に書いたら面白そうなんですけどね』と言われたことはありました。冗談かと思ってた。『火花』はホンマに面白いなと思います」(橋本)

 

 ただ、数日前に妹から電話があった。

 

「僕が『火花』のモデルといわれていることをオカンがネットで知って、読んだら何千万円も借金して逃亡したとか、笑いを取ろうとして豊胸手術を受けたとか書いてある。心配して泣いたらしくて。それ見たオトンが読んで、オトンまで『これは現実やろ』って。小説や!あれは、ホンマではありません(笑)」

 

 私生活では「パンサー」の向井慧(29)、「ジューシーズ」の児玉智洋(35)と男3人共同生活を送っている。

 

「部屋は3LDKです。2年間だけのはずだったのが、3人暮らしが楽しすぎてこの夏、更新します(笑)。家賃は又吉さん7、僕2、児玉さん1の割合で払っています。たぶん『ホンマは俺全部払ってもええんやけど、周りから見たら君らが感じ悪くなるから、少し払い』と又吉さんが設定したと思います」(向井)

 

 ここでは又吉が先輩である「神谷」の立場だ。じつは向井たちは、『火花』の最初の読者である。

 

「昔から自分の書いた作品を毎回、又吉さんは後輩に読み聞かせるんです。『火花』は少し書けるたびに、リビングで『ちょっと聞いてもらっていい?』って。『ここまで意味わかる?』って。まったく本を読まない僕らの意見を取り入れて、読みやすくしているんです」(向井)

 

 そうして書いた『火花』は芥川賞候補になった。’05年に『土の中の子供』でこの権威ある賞を受賞した中村文則氏(37)は、又吉が尊敬する作家で、プライベートでも交流がある。『火花』は文芸誌に載ったときから三島賞、芥川賞候補になると思ったという。

 

「又吉君は芸人。芸人そのものです。作家は作家しかできないけど、芸人は小説を書くことまで含めて芸。尊敬しています。賞を獲れば面白いことになる。芸人らしく、小説でも世の中を賑わせてほしい」

 

 結果は、7月16日に出る。

 

(週刊FLASH 2015年7月21日号)

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