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鳥越俊太郎「5年生存率13%」生き抜いて「今がいちばん健康」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.07.21 06:00 最終更新日:2016.07.21 06:00
「体調を心配されるけど、僕はいまが人生でいちばん健康なんですよ。元ガン患者をいちいち偏見の目で見ないでもらいたいですね。僕は、ガンのおかげで健康になったんですから(笑)」
東京都知事選が告示された7月14日深夜。鳥越俊太郎氏(76)を直撃すると、こんな快活な答えが返ってきた。
大腸ガンのステージ4。かつて、鳥越氏が受けた診断だ。13%という低い「5年生存率」を乗り越えた2014年2月、「5年生存達成を感謝する会」を開催する直前に、鳥越氏は壮絶な闘病体験を本誌に語ってくれた。
「2005年に大腸ガンが見つかったとき、すぐ手術を決断しました。受けたのは、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術です。お腹の周辺に4カ所ほど穴を開け、カメラと手術器具を入れて腸を切断します。大腸は胃や食道と違って長いので、一部を切っても体への負担が少ないんです」
だが大腸ガンは、ガン細胞が血流に乗り、肺や肝臓などに遠隔転移する可能性が高い。鳥越氏は2年後の2007年に、肺への転移が見つかり、すぐに胸腔鏡手術を受けることに。
「そのころ、僕は月~木で『スーパーモーニング』(テレビ朝日系)に出演していました。1週間だけ休み、手術の翌週には知らん顔でテレビに出ましたよ。
休み中に肺ガンの手術をしたとは、誰も思わなかったでしょう。胸腔鏡手術は、日常生活へ早く復帰できることが利点のひとつ。執刀医は胸腔鏡手術の世界的権威で、3000例の手術例がある方でした。ありがたいことです」
さらに2年後の2009年、今度は肝臓への転移が見つかった。
「私が『腹腔鏡は使えないんですか?』と聞いたら、先生は『使えません』と。さすがに観念しました(笑)。みぞおちから38cm、切ることになりました。でも、マイクロ波の技術を用いた器具を肝臓に突き刺し、焼き切るという方法で、最低限の出血ですんだのです」
見つかったらすぐ切る。その手法で、鳥越氏はガンに克つことができた。
「これ以上は転移しないと思います。僕は、たまたまかかりつけの病院で、いい医者に巡り会えました。偶然ですが、結果的にガン患者としてはいちばんいい形で、予後経過していることはたしかです。僕は楽天家でね。戦場取材では、地雷を踏んだことや弾に当たったことはありません。だから『ツキがある』と思い込んでいます(笑)」
だが、ガンという病気については忸怩(じくじ)たる思いがある。
「自分がかかって初めてわかったのですが、初期のガンは自覚症状がまったくなくて。たとえば肺ガンは大きくなるまで痛みを感じません。だから、死亡率が高いんです。筑紫哲也さん、井上ひさしさん、つかこうへいさん、梨元勝さん、いずれも肺ガンで亡くなりました。自覚症状が出たときには、もう手遅れ。検診で早く見つけ出すしかないんです」
その思いが「ガン検診率100%」という選挙公約につながったのだ。
(週刊FLASH 2016年8月2日号)