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復刊した六代目山口組の機関紙に載せられた「ヤクザ川柳」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.07.22 06:00 最終更新日:2016.07.22 06:00

復刊した六代目山口組の機関紙に載せられた「ヤクザ川柳」

六代目山口組司忍組長(中央)。右は橋本弘文統括委員長。左手前は藤井英治若頭補佐。中核組織の弘道会系団体は事務所の部屋住み人員を増やしたという

 

「現在の山口組は、神戸側への報復をしないよう、傘下の組織を厳しく抑えています。組織が落ち着きを見せていることをアピールするには、ちょうどいい内容です」

 

 7月5日、山口組総本部で開かれた六代目山口組の定例会。そこで出席した直参に配布されたのが「山口組新報」の最新号だった。ヤクザ界に詳しいジャーナリストは、記事の内容を見て、冒頭のような印象を持ったという。

 

「新報」は、六代目山口組司忍組長が復刊させた山口組の機関紙。オールカラー・全8ページの体裁で、年に3回、発行されている。最新号の巻頭では、六代目山口組の藤井英治若頭補佐が「被災地復興への願い」と題し、熊本地震について次のように書いた。

 

〈五年前、私達は震災直後、メルトダウンが報じられる中、救援物資の輸送から始まり(中略)、沢山の避難所を訪れお年寄りや子供達とふれあった事を思い出します。しかしながら、この度の震災ではその様な活動もままなりません。(中略)我々の活動を良しとしない当局は、売名行為とか震災後の公共工事に絡む利権活動だと吹聴して活動を規制した為、断念するしかありませんでした〉

 

 内容は、被災し、困っている人を助けることこそ、任侠道だというもの。ほかには、熊本の直参組織からの支援に対するお礼や、札幌の直参組長が地元を紹介したエッセイなども。

 

 また、俳句、川柳、短歌などのページもある。なかには、分裂騒動や法律に縛られたヤクザの心境を吐露した川柳もあった。

 

〈盃の 重さ忘れて 私利私欲〉

〈繁華街 足も遠のく 暴対法〉

 

 分裂騒動直後の2015年11月に発行された「新報」では、橋本弘文統括委員長が巻頭言として「任侠組織の根本である『盃』を蔑ろにすると云う事は任侠界自体を冒涜するもの」と書き、神戸山口組を厳しく指弾した。

 

 しかし最新号では、分裂騒動や抗争などの現状には触れられていない。関東在住の暴力団関係者は言う。

 

「5月末に神戸山口組直参組織の若頭が射殺されて以降、現在まで返し(報復)がおこなわれていない。不気味な静けさだが、こういうときこそ『新報』を発行して、いたずらに組員の不安を与えないようにしたかったのだろう」

 

 だが六代目側には焦りがあると、警視庁組織犯罪対策担当の関係者は言う。

 

「六代目側の組織の中には、構成員が大幅に減り、すでに代替わりができないレベルまで縮小したところが出てきたという話まである。また、最高幹部の引退説まで飛び出している。櫛(くし)の歯が抜けるように、傘下団体が減っているようだ」

 

 一方の神戸山口組は、発足当初の13団体から24団体にまで拡大している。そんな最中の15日、名古屋で発砲射殺事件が起こった。撃たれた男性は60代の暴力団関係者とみられる。予断を許さない。

(週刊FLASH 2016年8月2日号)

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