イタリアのコンテ首相は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、5月4日から、外出時のマスク着用を義務化する方針を決めた。同時に、付加価値税を免除し、マスク価格を1枚一律0.5ユーロ(約58円)に統一することも発表した。
感染が減少傾向にある地域では、外出制限の緩和が始まっており、それに合わせ、外出時のマスク着用を義務化する動きが広がっている。
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4月から各州ごとに義務化が進められていたドイツでは、4月27日、ついに全土で着用が義務となった。買い物や、公共交通機関を利用する場合、マスクやスカーフ等で口・鼻を覆わなければならない。州によって罰則は異なり、最も厳しいバイエルン州では、違反者は150ユーロ(約1万7000円)の罰金が科される。加えて、店の経営者が店員にマスクを着用させなかった場合、最大5000ユーロ(約58万円)の罰金になるという。
ヨーロッパでは、ベルギーも5月4日からの段階的な外出制限の緩和にともない、12歳以上が公共交通機関を利用する場合、マスクを義務づけることにしている。ほかにチェコ、スロバキア、オーストリアなどで義務化となっている。
アメリカも例外ではない。
4月15日、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が、公共の場ではマスクなどで口や鼻を覆うことを義務づけると発表した。地下鉄やバス、食料品店などのほか、他者と約2メートルの距離を保てない場合が対象だ(現時点で罰則なし)。ロサンゼルスでもマスク義務化が発表されている。
アジアでは、感染が拡大中のシンガポールで、4月12日から外出時にマスクを着用しなかった場合、300シンガポールドル(約2万2000円)の罰金が科せられている。2歳以下の乳幼児、屋外で激しい運動をしている人などは除外されるという。
ミャンマー中部にあるマンダレー市では、4月17日からマスクを着用せずに外出した場合、逮捕・処罰される。4月22日の『ミャンマージャパン』によれば、マンダレー市長のイェー・ルイン市長から「マスクを購入する余裕がない世帯には市が無料で提供する」と発表があったという。
マスク義務化が比較的、早かったのは台湾だ。4月1日から公共交通機関でのマスク着用が義務化され、従わなかった場合、最大で1万5000台湾元(約5万3000円)の罰金となる。台湾は、SARS(重症急性呼吸器症候群)に襲われた2003年にもマスクが義務化されており、その経験が役立ったのかもしれない。
日本と違い、欧米にはマスクをつける習慣がほとんどなかった。実際、オーストリアのクルツ首相は、「マスクが私たちの文化になじみがないことは十分に認識している」としたうえで、着用を要請している。コロナ禍は、人々の文化まで変容させていくのだ。