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PCR検査を増加させるには…アメリカの荒業は「検体まとめて」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.05.09 15:30 最終更新日:2020.05.09 16:33

PCR検査を増加させるには…アメリカの荒業は「検体まとめて」

東京の検査の様子(写真:AFP/アフロ)

 

 新型コロナウイルスの検査数は増やしたいが、検査薬に限りがある。
 多くの自治体が同じ悩みを抱えているなか、アメリカでは1つのPCR検査薬を5人で使うという荒業で検査するところが出てきた。
 

 アメリカ中西部にあるネブラスカ州だ。

 

 

 ここはロデオ発祥の地であり、トウモロコシ畑が広がるとてものどかな場所である。コロナウイルスはそんな内陸地までも感染を広げており、ニューヨーク・タイムズのデータによると5月8日現在、州の感染者は7000名を超え、死者は92名に上っている。人口10万人に対する患者数だと372名。感染者数のカーブはまだ抑えられたとは言いにくい状況だ。

 

 そんななか、検査を増加させるため生み出した苦肉の策が、1つの検査薬を複数で使うというアイデア。やり方は簡単で、複数の検体を一気に1つの検査薬に入れてしまう。その結果が陰性だったら、全員が陰性だからテストは終了。陽性が出た場合だけ、もう一度、1人1人検査すればいい。

 

 ネブラスカの研究者によると、検体を取るスワブの節約にはならないが、検査薬は50~60%使用を減らすことができたという。ただし、薬の製造者はこうした使い方を想定していないため、知事から特別な許可を得る必要があったそうだ。

 

 実は、この検査方法には、きちんと検証された論文がある。医師たちがいくつものグループテストを重ねて編み出した手法で、コロナウイルス患者が10%以下なら試薬と人件費が節約でき、テスト能力が全体で69%以上向上するという。ちなみに、第2次世界大戦のとき、アメリカ軍に梅毒が流行したときもグループ検査が使われている。

 

 新型コロナウイルスに対しては、ドイツのゲーテ大学でもこの方法を提示しており、すでに韓国やインドの一部で実際に行われている。

 

 日本人の感覚には合わないかもしれないが、PCR検査を増やしたいなら、こうしたアイデアを参考にするのもいいかもしれない。(取材・文/白戸京子)

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