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妻と長男が強制隔離…実録コロナ感染で起きた「家族離散」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.05.13 06:00 最終更新日:2020.05.13 06:00

妻と長男が強制隔離…実録コロナ感染で起きた「家族離散」

祖母の故郷・日本に13歳で移住したペルー出身のAさんと、妻・長男

 

「いつになったら、普通の生活に戻れるのでしょうか」
 そう不安な心境を吐露するのは、都内在住のAさん(42)だ。妻(28)と息子(4カ月)と暮らすAさんが、体調の異変に気づいたのは4月3日のこと。

 

「夜に頭痛と倦怠感に襲われ、鼻づまりや筋肉痛もありました。下痢もあり、今まで感じたことのない症状でした」

 

 

 これがAさん一家の、1カ月以上続く新型コロナウイルスとの闘いの始まりだった。

 

 Aさんが体温を測ると38.2度。すぐにコロナの感染を疑った。まだ乳児期の息子への感染を恐れ、自主隔離を決意したAさん。翌日、事情を説明したうえで受け入れてくれたホテルに移った。同日、保健所にも連絡したが、「4日以上熱が続いたら病院に行くように」と言われただけだった。

 

「熱は、上がったり下がったり。喉にガラスが突き刺さるような痛みが出て、匂いも味も感じない。妻に、『間違いなくコロナだ』と連絡しました。息ができなくなった時もあり、恐ろしい思いをしました」

 

 その後、ホテルでの自主隔離のあいだに、妻と息子がコロナに感染していることがわかった。

 

「妻は、私がホテルに移動した時点で、寒気や倦怠感、下痢の症状が出ていましたが、熱はなかった。ところが、4月7日に息子が寝苦しそうにし始めて、体温を測ると37.9度の高熱。すぐに救急車を呼んで小児病院に搬送されました。そして、コロナ感染の疑いから、PCR検査を受けたんです」

 

 検査の結果は陽性。息子は入院することになった。すぐに濃厚接触者である両親もPCR検査を受けた。だが、結果は妻が陽性で、Aさんは陰性。今度は妻が、都の要請で感染者を受け入れた品川プリンスホテルに入ることになり、コロナで家族がバラバラになった。

 

「息子の様子は、病院のスタッフから送られてくる写真と手紙でのみ、知ることができます。妻は、療養施設に入ってからは症状が安定し、少し安心しています。

 

 私は空っぽになった自宅に戻って、病院から着払いで送られてくる息子の服を洗濯したり、家事をしたり……。ただ、妻や息子のために直接できることは何もないんです」

 

 ペルー出身のAさんは、4年前に日本人の妻と結婚し、長年通訳として働いている。だが、この間は一切仕事ができず、そのうえ家族のコロナ感染で、出費もばかにならなかった。

 

「私は、自主的にホテルで療養していたので、すべて自費。また妻のPCR検査では、預かり金が1万円。息子の入院中の服やおもちゃも、感染の危険があるため家にあるものを持ち込めず、アマゾンで新たに購入しました。病院までの交通費も合わせると、今のところ15万円以上の出費です」

 

 5月7日、妻と息子の再検査結果は、2人とも陽性のまま。妻は、息子と同じ病院で入院生活を送ることになったという。

 

「コロナに感染するとどれだけ大変か、わかってほしい。まだ先が見えないのが、つらいです」


(週刊FLASH 2020年5月26日号)

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