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安倍首相へ…元内閣官房参与の直言「政権が腐敗してしまった」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.05.21 06:00 最終更新日:2020.05.21 06:00

安倍首相へ…元内閣官房参与の直言「政権が腐敗してしまった」

 

 通算在職日数が憲政史上最長となり、“一強” として君臨し続けている安倍晋三首相(65)。だが、新型コロナウイルスの危機に直面し、その “最強政権” に動揺が続いている。

 

 さすがに、これまで政権を擁護してきた “盟友” たちからも、手厳しい声が上がっている。本誌は今回、内閣官房参与として安倍政権の経済政策策定に関わっていた、京都大学大学院教授の藤井聡氏(51)に、率直な声を聞いた。

 

 

 いまの日本にふさわしいリーダーは、「もはや、今なら誰でもいい。今すぐ交代すべきです」と、切って捨てる。

 

「政権が長期化すれば、腐敗リスクが必ず拡大する。結果、最長政権記録を樹立した安倍政権は、腐敗してしまったのです。

 

 腐敗とは、権力者が特定の人や集団に利益誘導すること。それが進むと、国益の棄損も拡大する。その状況を終わらせられる人であれば、首相は誰でもいいのです」

 

 ブレーンとして政権内にいた藤井氏。安倍首相が打ち出すコロナ対策の「間違っている点」は、4つあるという。

 

「1つめは、中国からの入国禁止を、早い段階で判断できなかったこと。それが感染拡大を招いた。消費増税で減った内需を、インバウンドで埋め合わせたかったのでしょう。また、習近平国家主席を国賓として迎える予定だったことも、判断の遅れに結びついた。

 

 2つめは、小中高校の一斉休校を、独断で決めてしまったこと。『感染拡大を抑える効果は乏しい』と、専門家会議は当初から指摘しており、官邸の関係者も軒並み反対していました。その結果、今なお休校が解除できなくなっている。

 

 3つめは、緊急事態宣言を、無条件に全国に拡大してしまったこと。感染者がほとんどいない地域にも、“8割行動自粛” を強要したため、そうした地域にも、いたずらに大きな経済被害をもたらしてしまった。危険な地域とそれ以外の地域間の往来だけを、徹底的に禁止すれば十分だった。

 

 4つめは、通常の予算審議プロセスにこだわり、一般会計予算にコロナ対策を盛り込まなかったこと。予算をつけておけば、早期に対策を進めることができ、医療崩壊への懸念も抑えられ、4月中の倒産や失業を、大幅に食い止めることができていたはずです」

 

 藤井氏はかつて、なぜ内閣官房参与を引き受けたのか。当時の思いを尋ねると――。

 

「僕は、内閣総理大臣に期待したんです。国民として当たり前のことだと思います」

 

 では、安倍首相に代わるリーダーについては、どう考えるのか。昨今、メディアやSNS上での発信で注目を集めている、大阪府の吉村洋文知事(44)についても、藤井氏の評価は辛口だ。

 

「市長、知事になられる前から存じ上げていますが、評価できないと思います。いまは、政府の対応がひどすぎるから目立っているだけ。

 

 二重行政の廃止という視点で、病院や衛生研究所の統廃合などの合理化を進めてきたのですが、それが今の医療供給力に悪影響をもたらした疑念がある。そういうスタンスには、危うさを感じます」

 

ふじいさとし
1968年奈良県生まれ。京都大学工学部卒、同大学院工学研究科修士課程修了。現在、京都大学大学院教授。「大阪都構想」反対派として、橋下徹氏と論戦を繰り広げたことでも知られる

 

(週刊FLASH 2020年6月2日号)

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