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ANA職員120人、「医療用ガウン」生産現場で大活躍
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作業中のスタッフ(写真提供:ANA)
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療物資や医療用ガウンが不足している。こうした事態を受け、5月中旬から奈良県の縫製会社「ヴァレイ」では、ANAホールディングスのボランティアスタッフと提携し、10万枚の医療用ガウンの生産が進められている。
ヴァレイCEOの谷英希さんに、ガウン製作に至る経緯について話を聞いた。
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「4月の頭に、経産省の方から、医療用ガウンを縫えないかというお話があったんです。製作にはその場でOKを出し、その後、画像やサンプルを拝見したところ、ふた月で10万枚程度の生産が可能だと判断し、受注に至りました」
同時期、ANAホールディングスでは、減便で業務量が減っていた社員を対象に、医療用ガウンを製作するボランティアスタッフを募集していた。谷さんが、経産省からANAスタッフの受け入れを相談されたのは、ガウンの受注から1週間ほどたったころだという。
「このお話を伺ったとき、ちょうど先行してメディアに取り上げられて議論になっていた時期だったんです。CAさんが縫製に入るということで、女性だからミシンが使えるという認識は性差別じゃないかと。ただ、僕はこの話をいただいたとき、議論になったことも含めて嬉しかったんです。
まず、社会貢献で動いていただけるのは素晴らしいこと。あと、ミシンを使う作業って、どうしても日の目を浴びることが少なかった。その意味では、航空会社であろうが何であろうが、今回のように動いていただけたことは、業界として大きなことだと思いました」
現在、ヴァレイの縫製作業には、120人ほどのANAスタッフが関わっている。CAに整備士、パイロット、運行管理者など、幅広い職種から800人ほどの応募があったという。
「ANAのスタッフさんに手伝っていただいている作業は、縫製の前段階になります。ガウンにつける紐を作ったり、袖口のリブをカットしたり、全体の数を数えて検品したりです。
現場では、管理係としてヴァレイの人間を常に1人は配置しています。他にも、事前にANAさん側でリーダーを12人決めていただき、ヴァレイで研修をおこないました。現場には、常にリーダーが3名ほどいるようにローテーションを組んでいます」
ANAスタッフの仕事ぶりに、谷さんは驚くばかりだという。
「人材が素晴らしいのはもちろん、皆さん情熱をもって、真面目に取り組んでらっしゃる。医療現場にいち早くいい商品を届けようというモチベーションが高い。
質問の数も圧倒的です。『このとき、どうしましょう』『これはセーフですか、アウトですか』『こういうリスクはないですか』と、細部まで確認してくれる。また、問題が起きたときの情報の共有力だったり、同じ問題が起きないよう素早くマニュアル化する動きを見て、組織としての強さを感じました」
ANAスタッフが担当するのは、ヴァレイが受注した10万枚のうち、5万枚ぶんの製作工程の3割ほど。残りの工程は、フリーランスの職人たちが日本中で縫製作業を進めている。ヴァレイで生産されたガウンは、5月末から現場へ納品されるという。