社会・政治
小池百合子都知事誕生「内ゲバ」収束の鍵は2人の「茂」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.08.02 06:00 最終更新日:2016.08.02 06:00
「大年増の厚化粧」
7月26日、石原慎太郎元都知事(83)の、小池百合子氏(64)への暴言だ。本人は、街頭演説で皮肉たっぷりにこう反撃。
「今日は薄化粧で来ました!」
オトコの「口撃」へのカウンターで、オンナの票を掴むしたたかさが、勝利のゆえんだった。
では、自民分裂選挙で誕生した小池都知事に、安倍晋三首相はどう対峙するのか。
「今回の都知事選が『内ゲバ』とも称される陰惨な展開となったきっかけは、7月初頭に自民党中枢を駆け巡ったある情報だったんです」
こう話すのは、元TBS報道記者で「安倍政権にもっとも食い込んだ記者」と呼ばれた山口敬之氏。
石破茂氏が増田寛也氏の携帯に電話をかけ出馬辞退を迫ったという噂が、7月2日の夜までにごく一部の関係者の間で一気に広まった。
石破氏が増田氏に直接電話をかけたかどうかは未確認だが、
◯小池氏のバックには石破氏がいて
◯党の意向に反して増田氏に出馬辞退を迫った
という2つの情報が、既成事実として関係者の間に広まっていった。
怒り心頭に発した自民党東京都連は、内田茂幹事長を中心に徹底した小池潰しに走った。つまり、「誰を都知事にするか」でなく、「誰を都知事にしないか」という非生産的な選挙戦の構図がここで固まった。
「陰惨な戦いから徹底して距離を置いたのが、安倍首相でした。関係者の度肝を抜いたのが7月17日夜から1週間にわたった夏休みです。これは増田氏の劣勢が判明する前に決められた日程。安倍首相は、情勢の如何によらず、最初から超然としたスタンスでいくつもりだったのです」(山口氏)
夏休みが終わり、増田陣営から再三の懇願があったにもかかわらず、結局、安倍首相が街頭に立つことはなかった。小池陣営は、一連の首相の対応を「分裂選挙の禍根を残さない」というメッセージと受け止めた。
「安倍首相は選挙戦終盤、周囲に『どっちが勝っても、党内の亀裂を修復する余地を残すのが党首の役目なんだよ』と語ったそうです」(同)
小池氏の当選が確実な情勢となっていた29日午後、安倍首相と菅義偉官房長官が密かに総理執務室で向き合った。最大の難題が自民党都連の立て直し。分裂選挙の末の敗北という結果に対してはケジメが必要だが、オリンピックを控え、都連が機能不全に陥る事態は避けたい。
この段階で小池氏が都連幹部への復讐を宣言していることは、官邸にも伝わっていた。
「選挙期間中は絶妙な間合いを維持した安倍首相と小池氏でしたが、一連の経緯から独特の緊張感が残りました。今関係者が最も注目しているのが、『石破』と『内田』、2人の「茂」の処遇です。これが、自民党を分断した亀裂と、安倍首相と小池新都知事の今後の関係を占う、重要な試金石となるでしょう」
(週刊FLASH 2016年8月16、23日号)