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『セーラームーン』が好きだった金与正、『愛の不時着』に怒る

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.06.24 06:00 最終更新日:2020.06.24 06:00

『セーラームーン』が好きだった金与正、『愛の不時着』に怒る

2018年9月、第5回南北首脳会談での金与正氏

 

「遠からず、共同連絡事務所が跡形もなく崩れる光景を目にするだろう」

 

“爆破女” 金与正氏の予告どおり、6月16日、「南北融和の象徴」は木っ端微塵に崩れ落ちた。

 

 北朝鮮・開城市にある南北共同連絡事務所の爆破は、韓国の脱北者団体が散布したビラに対する報復とするのが、大方の見解だ。だが、「デイリーNKジャパン」編集長の高英起氏の見方は異なる。

 

 

金正恩・与正が本当に激怒していたのは、『愛の不時着』のほうではないでしょうか」

 

『愛の不時着』とは、韓国のテレビ局tvNが放送し、現在、日本でも大ブームを巻き起こしている韓流ドラマだ。

 

 パラグライダー中の事故で北朝鮮に不時着した韓国の財閥令嬢と、そこで出会った北朝鮮軍将校にロマンスが生まれる、というラブコメだが……。

 

「自然で、リアルな北朝鮮を描いていると評判です。しかし、『北朝鮮の保衛部が麻薬取引や密輸をやっている』『拷問がある』など、北朝鮮が激怒してもおかしくない内容が描かれているんです」(高氏)

 

 実際、2020年3月には、北朝鮮の対韓国宣伝サイトが、『愛の不時着』をこう罵っている。「虚偽と捏造に満ちた、虚しく不順極まりない反・共和国(=北朝鮮)ドラマ」だと。

 

 山梨学院大学元教授で、宮塚コリア研究所代表の宮塚利雄氏が語る。

 

「『韓流ドラマ』ーー北朝鮮いわく『退廃した資本主義の思想・文化』の流入は、独裁体制を揺るがしかねない危険なもの、と当局は警戒しています」

 

 金与正氏の “導火線” に火をつけたのは、大人気ドラマだったのであるーー。

 

 今回の爆破のみならず、最近の与正氏は、兄・正恩氏のお株を奪うような、過激な罵倒を繰り返している。たとえば、韓国・文在寅大統領に対する「吐き気がする」「鉄面皮」といった暴言もそのひとつだ。

 

 だが、2018年の平昌五輪開会式では、「ほほえみ外交」を展開していたことも事実。いったい、彼女の正体とはーー。

 

 そもそも、年齢からして諸説ある。だが、『コリア・レポート』編集長の辺真一氏によれば、与正氏は1988年9月26日生まれの31歳だという。

 

「生まれたのはウィーンの病院で、11歳から13歳までスイス・ベルンの公立学校に留学しています。スイス留学時代は、バレエをやっていました。当時の同級生の証言では、アニメのイラストを描くのが好きで、それも日本のアニメが多かったそうです。

 

 与正は1991年ごろ、母親の高英姫と一緒に来日した経験があります。東京ディズニーランドなどを訪れており、このときに、おそらく日本のアニメをおみやげに持ち帰っています」(辺氏)

 

 特にお気に入りだったのは、当時流行していた『美少女戦士セーラームーン』だという。

 

 与正氏は、2015年と2018年に出産したが、夫に関しても確実な情報は少ない。辺氏が言う。

 

「夫は崔竜海・朝鮮労働党副委員長の次男との説がありますが、韓国の国家情報院が、崔竜海の次男はずいぶん前に死んだと報告しています。

 

 彼女の夫は、こうした幹部家庭の出身ではなく、実際には一般家庭の出身です。与正とは金日成総合大学の同級生で、物理学部を卒業した研究者。与正と同級生ならば31歳。物理学者としてはまだ研究員クラスでしょうね」

 

 アニメが好きで、同級生と恋をし、母になって……と、ここまで聞くと、どこにでもいる女性のようにも思える。だが一方で、現在の過激さの原点もまた、幼少期にあった。

 

「幼いころの与正をよく知るのが、“金正日の料理人” といわれる藤本健二氏。藤本氏によれば、与正は当時から『勝ち気で男勝りだった』と。父・金正日も、『もし与正が男だったら、後継者にする』と語っていたそうです」(辺氏)

 

 最近、兄・正恩氏の後継者は与正氏だ、と囁かれる場面が増えてきた。独裁国家のトップになる資格は、十分にあるのだ。

 

写真・EPA=時事

 

(週刊FLASH 2020年7月7日号)

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