社会・政治
都知事選、過去2回あった「政見放送」音声削除の理由とは?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.07.01 11:00 最終更新日:2020.07.01 11:00
東京都知事選が7月5日におこなわれる。過去最多となる22人が立候補しており、各地での街頭演説も盛んになってきた。選挙マニア作家の宮澤暁さんがこう話す。
「やはり都知事選の華といえば、候補者たちの政見放送です。東京都民やその周辺の人々に、自分の主張を公共の電波で届けられる機会はなかなかない。
【関連記事:都知事選の「謎」事件/立候補したのは死人だった!】
本来、政見放送はそのまま流されるものです。ところが、2016年の都知事選では、ほとんどの音声がカットされるケースが発生しました。
ご存知の方も多いかもしれませんが、後藤輝樹という人ですね。後藤氏は政見放送で性器の俗称を連呼しまして、該当箇所の音声がばっさりカットされました……」
宮澤氏によれば、過去に政見放送で音声をカットされた人物は、後藤氏含め2人しかいないという。
「もう1人は、東郷健氏です。彼は彼で強烈な政治家なんですが、1983年におこなった政見放送のなかで差別表現が飛び出してしまい、史上初めて一部音声カットの措置が取られました」
後藤氏の政見放送が有名になったのは、音声カット以外にもYouTubeに本人が独自に収録した無修正の政見放送を流したことが影響している。YouTubeには過去の政見放送が大量にアップされているが、宮澤氏は「政見放送がYouTubeに転載されるきっかけになったのも、昔の都知事選がきっかけと言われています」と語る。
「まだネット選挙という言葉もなかった2007年、外山恒一という人物の政見放送が話題になりました。放送中に『政府転覆』を訴え、周囲の人間が選挙期間中にYouTubeに上げてしまったようで、ネットで大評判。今でいうところの『バズった』状態になったわけです。
そもそも政見放送っていうのは、流せる回数が決まっているんですが、当時はネットを使った選挙運動が禁止されていたこともあり、選挙期間中にYouTubeに上がってしまうと、その前提が崩れてしまう問題もあったんです。
それまでも、一部の好事家が政見放送を選挙後にネットにアップする動きはあったんですが、外山氏以降、特に変わった政見放送をYouTubeへ転載することがメジャーな動きになった印象がありますね」
奇しくも、2020年の都知事選には後藤輝樹氏も立候補している。これを機に政見放送を聞いてみるのもいいかもしれない。
●宮澤暁
選挙関係の変わった事件を中心に調査をしている選挙マニア。変わった選挙事件を紹介した『ヤバい選挙』(新潮社)発売中