社会・政治社会・政治

本誌記者、オスプレイに初対面…なぜ導入したのか聞いてみた

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.07.11 21:15 最終更新日:2020.07.12 12:10

本誌記者、オスプレイに初対面…なぜ導入したのか聞いてみた

オスプレイ

 

 7月10日、陸上自衛隊の輸送機・オスプレイが、千葉県の木更津駐屯地に配備された。当初6日に到着予定だったが、悪天候により2回の延期を経て、山口県・岩国基地から移動した。

 

 この日、木更津では雨が降っていたものの、オスプレイ到着時間が近くなると晴れ間が見え始めた。午後2時10分に岩国を離陸したオスプレイは、午後4時を少し回った頃、木更津へ到着。

 

 

 コンパクトなサイズながら、両翼についた大きなプロペラが目を引く。ヘリのように空中で止まることができ、飛行機のように速く長い距離を飛ぶことから、しばしば「ヘリと飛行機のいいとこ取り」と評される。

 

 本来は、佐賀空港に配備される予定だったが、地元との話し合いが折り合わず、暫定的に木更津への配備となった。防衛省は5年をめどに佐賀へ配備する方向で動いているが、見通しは立っていない状況だ。

 

 オスプレイについて、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏がこう語る。

 

「陸自で輸送ヘリとして使用されているCH-47Jと比べると、やや小さい機体です。荷物の積載量は少なくなりますが、緊急事態の際、とにかく素早く遠くまで行けることを追求した結果といえます。

 

 もともと米軍海兵隊が導入していて、沖縄の普天間基地などでも運用されています。事故が多いという理由で反対運動も起こりましたが、あれは間違いです。他の機体と比べて特別に危険なわけではないことが、数字上で証明されています」

 

CH-47J

 

 オスプレイは、今後どういった場面で出動するのか。

 

「災害時のような緊急事態での出動や、島嶼防衛といった役割を期待されています。ただ、正直どうしてもオスプレイでなければいけないという局面は、日本においてはありません。

 

 ある程度の滑走路が必要で、キャパも大きいわけではないので、災害派遣では使い勝手が悪い。島嶼防衛といっても、南西諸島のような近場が関の山です。

 

 そもそも日本の自衛隊は専守防衛で、外に打って出る類の作戦はありません。米軍のように、アフガニスタンで孤立した隊員を救出する、といった遠方での作戦の場合で、オスプレイのよさが発揮されます。

 

 米軍が沖縄でオスプレイを運用することは軍事的合理性がありますが、陸自がオスプレイを導入する意味はあまりないでしょう」

 

 総額約3600億円もの金額をかけて購入し、今回の木更津配備にも、関連経費として2億円が計上されている。にもかかわらず、費用対効果はパッとしない。オスプレイが陸自に導入された経緯について、黒井氏はこうも話す。

 

「軍事評論家の界隈では、米軍基地反対運動があったことから、日本の政治家がお付き合いで購入したんじゃないかと推測されています。

 

 本来新しい機体というのは、自衛隊側が申請し、防衛省でセッティングする流れになりますが、オスプレイに関して、陸自側が申請した痕跡が見当たりません。

 

 オスプレイは事故率が多くて危険だから導入反対、という論調は間違いです。ただ、陸自に導入された経緯に関しては、やはり疑問が残りますね」

続きを見る

今、あなたにおすすめの記事

社会・政治一覧をもっと見る