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新型コロナが蔓延するボリビアで「漂白剤」が特効薬あつかい
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.07.21 20:00 最終更新日:2020.07.21 20:03
新型コロナウイルスの蔓延で、南米が混沌としている。
ボリビアでは、ウイルスに効く薬として「二酸化塩素」のボトル購入に列ができているそうだ。
二酸化塩素は強い酸化力を持ち、除菌・消臭の働きがあることから、水道水やプールの消毒、紙の漂白などに使われる。日本では消毒薬としては未認可だが、簡単に言えば、漂白剤をコロナ特効薬と謳っているのだ。
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アメリカのFDA(食品医薬品局)によると、飲んだ場合、吐き気や嘔吐、下痢、深刻な脱水症状を引き起こす可能性があるという。4月にコロンビアの会社が類似品を販売し、差し止められた経緯もある。
ボリビアは南アメリカ大陸のほぼ中央に位置し、国の北部と東部がブラジルに接している。国土は日本の約3倍だが、人口は1000万人強しかいない。
新型コロナウイルスの感染が深刻化しており、ここ数日の新規患者数は2000名前後、トータルで6万名以上と記録を更新中。実際の患者数はこの数字よりはるかに多いだろうと報じられている。
そんななか、野党が後押ししていた二酸化塩素薬の製造が緊急措置として許可された。本来は大統領の認可が必要なのだが、前大統領は亡命中で、暫定大統領は新型コロナに感染して療養中。混乱のなかで薬の販売が始まった。
同国の保健相は「(事実上の首都)ラパスだけで少なくとも5名が中毒症状を起こしている、科学的根拠のないものは推奨できない」と警告している。
一方で薬の販売者は「自分と妻はこの薬を飲んだがなんともない。何千人もの人が1滴ずつ服用している」と語っている。さらにこの薬を無料で配りたいと語った市長もいるそうだ(AP通信7月18日)。
現地には、昔から「毒」がガンやエイズなどの病気を奇跡的に治すという非科学的な考えが存在するという。言うまでもなく、こうしたニセ療法は危険だが、藁にもすがりたい人々によって広まっているのが実情だ。
ボリビアでは大統領のほかにも政府高官が次々と新型コロナウイルスに感染し、19日にはサッカー連盟の会長が死亡している。死者の埋葬も滞っており、路上には棺桶が放置される事件も起きているという。(取材・文/白戸京子)