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座間9人殺害犯に直撃…ALS嘱託殺人「患者を殺す医師は許せない」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.08.04 06:00 最終更新日:2020.08.04 06:00

座間9人殺害犯に直撃…ALS嘱託殺人「患者を殺す医師は許せない」

2017年、高尾警察署から移送される白石被告。現在は髪こそ伸びたものの、顔つきは当時のままだった

 

 7月23日、厚生労働省の元医系技官を含む医師2人が逮捕された、嘱託殺人事件。容疑は、2019年11月に京都在住の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に頼まれ、薬物を投与して “安楽死” させたというものだ。医師2人は、SNSを通じて女性とやり取りを続けていたというが、詳しい経緯は不明のままだ。

 

 

「頼まれて殺人を犯す」という心理は、いったいどのようなものなのか。想起されるのは、現在、立川拘置所に勾留されている「座間連続殺害事件」の白石隆浩被告(29)だ。

 

 白石被告は2017年、SNS上で「死にたいと思う人の手助けをする」という名目で次々と誘い出すなどして、座間市内で9人の男女を殺害した罪などで起訴された。9月30日に初公判が控えている。

 

 本誌が接見に訪れた日、面会室に現われた白石被告は、拘置所で貸し与えられた緑の半袖シャツに緑の短パン姿。髪は肩まで伸び、マスクの脇から髭が見え隠れしていた。

 

「ここのところ、毎日のように記者が面会に来るんですよ。若い女性の方が来ると、テンションが上がりますね」

 

 取材に同行した本誌女性記者を見てそう話し、余裕すら感じさせる白石被告。

 

「京都の嘱託殺人事件については知っています。どれだけ頼まれたのだとしても、(医師2人が)やったことは犯罪ですよ。許されないことでしょうね。なんで、あんなことやっちゃったのか……」

 

「意外」と言っても、いいのではないだろうか。白石被告は記者の前で、医師らの行為を否定した。だが、その理由は不可解なものだった。

 

「私からすれば、もったいないんですよ。だって医師の仕事は、収入も社会的地位も高い。でも、これで医師免許も剥奪されてしまうでしょう。

 

(女性患者から)何千万円もの報酬をもらっていたのなら、まだわかりますが、報道によれば、医師が受け取った謝礼は、たった130万円程度ですからね」

 

 白石被告は、安楽死そのものについては、以前から興味を持っていたようだ。

 

「海外には、合法的に自殺幇助をおこなう団体があります。また以前、痛みに苦しむ白血病の患者を医師が殺してしまう、という小説を読んだこともあります。でも日本では、それらは違法行為です。やるべきではないのです」

 

「頼まれて殺人を犯した」という今回の事件について、彼の凶行と共通点があるように見えると指摘したところ、「まったく違う」と反論した。

 

「僕の起こした事件は、ただの快楽殺人なんですよ。嘱託殺人じゃない。僕にとっていちばん大事なのは、カネでした。女のコをまず口説いてみて、カネになりそうにないコは殺す。カネになりそうなコは、カネを取れるだけ取って、それから殺す。最初のコは、50万円取ってから殺しました。

 

 でも、いま考えれば失敗でした。そのままカネをもらい続けることもできたし、結果的に見つかってしまいましたからね。自殺願望があろうとなかろうと、悩みを聞いてあげて、口説いて、カネにならなかったから殺した。それだけです」

 

 僕は、被害者に頼まれたから殺したんじゃない。殺したかったから殺しただけだーー。身勝手な理屈を並べ立て、まるで他人事のように自身の凶行の動機を語るその口ぶりからは、微塵の反省も感じることはできなかった。

 

 終始、淡々と質問に答える白石被告だが、ある人物の死について話が及ぶと、急にショックを受ける様子を見せた。

 

「えー! 三浦春馬の死因は、自殺ですか。拘置所ではラジオを聴くことができるのですが、以前、本人が番組で『舞台をやるから観に来てください』と言っているのを聞きましたよ。ラジオでも報道はありましたが、自殺だったとは驚きです」

 

 そして取材を始めて20分ほど過ぎたころ、白石被告は突然、机に顔を突っ伏した。

 

「たまに人としゃべると、目眩がしてくるんです。当時の僕は、たしかに猟奇的だったと思います。死刑でも仕方がないですよーー」

 

 白石被告が “自身の死” にすら無関心な様子を見せたところで、面会は終わりを迎えた。取材を通して浮き彫りになったのは、「命」というものをまったく尊重しない、白石被告の傲慢さだった。

 

 今回、逮捕された医師2人の詳細な動機は、いまだ明らかになっていない。だが、女性患者に薬物を投与する瞬間、彼らの心の中に、白石被告に通ずる“ 傲慢さ” は、なかったのかーー。

 


(週刊FLASH 2020年8月18・25日号)

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