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勝手に送りつけられる「謎の種」中身はミント、トマト、朝顔…

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.08.04 11:00 最終更新日:2022.12.07 18:56

勝手に送りつけられる「謎の種」中身はミント、トマト、朝顔…

送りつけられた謎の種(米農務省フリッカーより)

 

 日本でもアメリカでも、中国から無断で送りつけられてくる「謎の種」が話題になっている。アクセサリーや宝石と書かれた封筒を開けると、なかに見知らぬ種が入っていたという報告は全米で相次いでおり、その数はインディアナ州だけで300件以上にのぼるという。

 

 日本では「ジャイアント・ホグウィード」という、樹液が皮膚につくと火傷のようにかぶれる植物だと騒がれているが、これはどうやら眉唾のようだ。

 

 

 アメリカの農務省が分析したところ、これまでに14種類が判明している。具体的にはミント/ラベンダー/ローズマリー/セージ/ハイビスカス/キャベツ/トマト/マスタード/朝顔/バラなどで、 北アメリカでよく見られる「ヌルデ」と呼ばれるウルシ科の植物もあった。いずれもハーブや野菜、観賞用の植物である。

 

 種が送り付けられているのは日本やアメリカのみならず、ヨーロッパやオーストラリア、カナダなど世界各国に渡っている。

 

発送元は中国やウズベキスタンだという(米農務省フリッカーより)

 

 謎の種を受け取った人のなかには、すでに植えてしまった人たちも多い。アーカンソー州の男性が植えたところ、種は驚くほどよく育ち、オレンジの花が咲き、白い実をつけたそうだ。地元の役所は、ウリ科に見えるその植物を引き抜く予定だ。

 

 農務省では、検疫を通していない種は農業や環境に悪影響を与える恐れがあるとして、謎の種を受け取った人に対して、以下のような指示を出している。

 

●種の包みを開けない、植えない

 

●開けてしまった場合は、袋に密閉した状態で、送付された封筒とともに担当省庁に送付してほしい

 

●植えてしまった場合は、種あるいは植物を取り除き、周囲の土を8cmほどまとめて二重にビニールに入れ、空気を抜いてからゴミとして廃棄してほしい。コンポスト(堆肥)にはしない

 

●鉢に植えた場合は石鹸と水で鉢を洗い、土を残さない。洗い終わった鉢は10%の漂白剤に30分ひたす。また、洗浄に使った水はトイレなど必ず下水に流す

 

●第三者がオンラインストアに登録している住所と名前を不正に取得した可能性があるため、パスワードは変えた方がいい

 

 それにしても、なぜ種が勝手に送られてくるのか。農務省は、その理由として、ブラッシング詐欺の可能性を指摘している。架空の売り上げで売上増を演出し、高評価のレビューを書くことで、販売者の評判を高める手口だ。

 

 だが、送りつけられた植物が有害だったり、遺伝子が組み替えられているなど、農業テロの可能性も否定できない。日本の農水省も「けっして植えないで」と注意喚起しており、無視するのがいちばんだろう。

 

 なお、すでに種以外に、マスクやトイレットペーパーが送りつけられたとの報告もあり、騒ぎはまだまだ続きそうだ。(取材・文/白戸京子)

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