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歌舞伎町の風俗王が開いた「ナチス礼賛」歌謡ショー
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.08.19 06:00 最終更新日:2020.08.19 06:00
「会長は、演歌や『CR花の慶次〜斬』の『ひとひらの花』の替え歌などを歌っていました。ダンサーをバックに従え、一日中、大騒ぎするんです」
そう話すのは、都内のある不動産会社に勤めるAさんだ。彼が「会長」と呼ぶのは、“歌舞伎町の風俗王” と呼ばれる森下景一氏(69)だ。
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森下氏は、1980年代後半にテレホンクラブ「リンリンハウス」を創業し、業界最大手に育て上げるなど、長年にわたり風俗業界で成功を収める人物だ。ロボットと過激な衣装を着たダンサーのショーが話題を呼び、歌舞伎町の観光名所となった「ロボットレストラン」や、ネットカフェ大手「マンボー」も森下氏が手がけた。
「傘下には300社以上を擁し、不動産ビジネスなども展開する “森下グループ” として知られているが、本人は表舞台に姿をあらわさない。みかじめ料を要求する組関係者にも、一歩も引かないやり手として有名だ」(指定暴力団関係者)
そんな森下氏は、毎年秋になると、グループの社員を集めて “歌謡ショー” を開くのだというが……。
本誌が入手した、2017年10月2日のショーの様子を収めた冒頭の写真には、ナチス・ドイツの象徴であるハーケンクロイツ(鉤十字)旗が、たなびいているではないか。Aさんは、ショーの様子をこう振り返る。
「鉤十字について、会長は何か意味を持って掲げさせたわけではないようですが……。私たちグループの社員は、『会長カッコいい!』と、盛り上げるのに必死でした。これも仕事だと思ってやっていましたが、ハーケンクロイツが乱舞する会場を見て、『さすがにもう、ついていけない』と思いました。
この年は千葉県での開催で、ショーに参加する社員たちの多くは、朝の4時に新宿に集合して、始発電車で九十九里浜方面に向かいました。写真は、朝9時からのリハーサルの模様です。
午後からの本番に向けて、会長もリハから参加します。グループの店で働く女のコたちが、こぞってギャル系メイクや衣装で着飾って、会長のバックダンサーをやります。リハから会長は、大はしゃぎですよ。
用意された弁当は1個だけで、とにかく、おなかが空いたことを覚えています。ショーは夕方まで続きました」
森下氏に見解を聞くため、グループ企業を通じて取材を申し入れたが、締切りまでに回答は得られなかった。
たとえ、ナチスを礼賛する意図がなかったとしても、「鉤十字」のモチーフは安易に使えるものではない。2016年には、欅坂46がハロウィンイベントで着た衣装が、「ナチスの制服に酷似している」と、世界中から批判を浴びたこともあった。元外務省国際情報局長の孫崎享氏も、こう話す。
「もし、ドイツでこんなことをしたら、刑事罰が科されます。ナチスが起こしたホロコーストは、人類史上類を見ない戦争犯罪です。関わったナチスの犯罪者たちは、今も世界中で追及されています。こんなものが広まったら、日本の国益すら損ねかねません」
コロナ禍が直撃し、苦しい状況が続く歌舞伎町。吹きすさぶ嵐が厳しくならなければいいがーー。
(週刊FLASH 2020年9月1日号)