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前原誠司 元国交相が検証『半沢直樹』JAL債権放棄の現場は…
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.20 06:00 最終更新日:2020.09.20 06:00
「フィクションとしては非常によくできている。ずっと録画していて、家内と観たらおもしろくて。『これからも全部観ようね』と話をしています」
ここにも “半沢ファン” がいた! 国民民主党から分党し、新党結成を目指す前原誠司衆院議員(58)だ。ダイナミックな政局の合間に『半沢直樹』を観て、すっかりハマってしまったという。
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「堺雅人さんと香川照之さんの掛け合い、実際はアドリブだらけらしいですね。私の知り合いも2人出ています。金融庁の黒崎駿一検査官役の片岡愛之助さんとは、メールのやり取りをする仲ですし、帝国航空財務担当役員・永田宏役を演じる山西惇さんとは同級生で、京都の塾で中1から高3まで一緒だったんですよ」
『半沢』は、現在「帝国航空編」を放送中。経営危機に陥った帝国航空の担当となった半沢に、国土交通相に就任した白井亜希子(江口のりこ)が立ちはだかる。白井大臣の役回りは、2009年~2010年に民主党政権の国交相だった、前原議員がモデルなのだ。
「白井大臣は、かなりの悪役として描かれていますが、私とは “似て非なるもの” だと思っています(笑)。それに、白井大臣は白い服を着ている “上から目線” の女性ですし、視聴者は、別の誰かを想像されているんじゃないでしょうか。誰とは言いませんが(笑)」
白井大臣が半沢に、「あなたは、しがない銀行員。現場はネジと同じ」と言い放ったシーンは話題になったが……。
「私が、そんなことを言うわけないでしょ!(笑) 実際に銀行に乗り込んだことも、テレビに出演して銀行を名指しで批判したこともありません。
私が銀行の方と話をしたのは、実際は数回なんです。メガバンク3行や、ドラマでは『開発投資銀行』となっている日本政策投資銀行(政投銀)に、JALの債権放棄をお願いしたときですね」
“リアル半沢直樹” とは、どう戦ったのか。
「実際に国交大臣が話し合うのは、銀行の担当者ではなく、各銀行の頭取なんです。
ドラマの東京中央銀行は、現実では『みずほコーポレート銀行』でしたが、同行の佐藤康博頭取とは、数えきれないくらい会いました。ホテルでこっそり2人きりで会ったり、佐藤頭取のお嬢さんが結婚式を挙げた日も、式のあとで時間をいただきました。JALのメインバンクでしたしね」
佐藤氏以外のメガバンクの頭取とは、初対面だった。
「三菱東京UFJ銀行の債権放棄額は、514億円にのぼりました。放棄してほしいとお願いしたところ、永易克典頭取に激高されまして……。同席していた企業再生支援機構の瀬戸英雄委員長と、怒鳴り合いになったんです」
当時は、永易氏がJAL社長の西松遙氏に詰め寄る場面があったとも報じられた。ドラマ顔負けのシーンだが、前原議員は、西松氏と会ったのも2回だけだったという。
「西松氏は、JALをただ延命させるための報告しか出してこなかったので、この人と話をしても仕方がないと、彼の相手は『JAL再生タスクフォース』にまかせたんです。
リーダーの高木新二郎さんは、乃原正太(筒井道隆)みたいな偉そうな方ではありません(笑)。それにしても、筒井さんの演技は素晴らしいですね」
タスクフォースは、金融機関の反発もあり、JALの資産査定と再建案をまとめたのち、1カ月で解散。再建策は、企業再生支援機構に引き継がれた。
「私の仕事は、法的整理のプラットフォームを整えて、ひと便も止まらないような体制を作って、次のトップを稲盛和夫さんにお願いするところまででした。
ドラマでも、“グレートキャプテン” の木滝機長(鈴木壮麻)がハイヤーで送り迎えされていましたが、稲盛さんはそんな体質にメスを入れ、『安全』『お客様本位』そして『従業員の誇り』を回復させた。ドラマで半沢が果たした役割のかなりの部分は、稲盛さんがなさったことなんです」
なんと、“リアル半沢” は稲盛氏だった--。
※肩書、銀行名などは当時のものです
(週刊FLASH 2020年9月26日・10月6日号)