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次の次は「クジラ」台風ハリケーンの名前はどうつける?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.20 11:13 最終更新日:2020.09.20 11:30
大西洋のハリケーンラッシュが続いており、用意されていたアルファベットの名前を使い果たしてしまった。
北大西洋で一定レベル以上に発達した熱帯低気圧にはアルファベット順に名前をつけていくのがルールになっているが、9月18日に「Wilfred(ウィルフレッド)」が発生し、Aから順に始まった名前の候補を使い切ってしまった。
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ちなみにアルファベットのQ、U、X、Y、Zは候補名の数が限られるため使用しない決まりで、残りの21文字が順に使われてきた。
この日はさらに2つの熱帯低気圧が発達。アルファベットの後はギリシャ文字を使うことが決められており、同日に「アルファ」と「ベータ」が誕生した。
過去にギリシャ文字を使ったのは2005年の一度だけである。この年は28個の嵐に名前がつけられ、アルファからゼータまでを使っている。
平年は10個ほどしか名づけられることがないのだが、今年は史上最速で名づけが進んでおり、2005年より1カ月近く早いペースだという。
気象予報士の白戸京子さんが、こう話す。
「今年は例年よりかなり多くの熱帯低気圧が発生していて、8月始めにはNOAA(海洋大気局)がハリケーン予報の数を上方修正したほどです。
アフリカの赤道付近の空気が波のように揺れてハリケーンの元となる低気圧を次々と生み出す『アフリカン・ウェーブ・トレイン』と呼ばれる状態になり、大西洋上に5個以上の丸い低気圧の雲のかたまりが、まるで線路を進むように西へ流れました。ひと頃は7つ並んだこともありました。
ハリケーンの本番は9月、10月ですが、低気圧が次々と発生しては弱まる状態が続き、予報官はコーヒーを飲む暇もないと言われています」
ハリケーンの名づけは19世紀に始まった慣習で、当初は聖人の名前から妻や恋人、嫌いな政治家の名前などがつけられていたが、1979年からは男女平等に名づけられるようになった。
大西洋の真ん中で渦を巻いているハリケーン・テディは愛らしい名前とは裏腹に、カテゴリー4と、現在最も発達しているハリケーンだ。
ゆっくりと北へ進路をとっており、来週以降、カナダとアメリカの国境付近、嵐の襲来に慣れていない地域へ進む見込みである。
女性の名前やかわいい名前だと、そのイメージから警戒が緩んでしまうという声があるが、被害はかなり大きくなる可能性もある。
一方、日本付近の台風は19日現在で11個、平年の25.6個に比べるとゆっくりとしたペースである。
台風は番号で呼ばれることが多いが、各国で協議した名前も順番に割り当てられている。次の台風は香港からの「ドルフィン」、その次は日本からの「クジラ」が使われる予定である。
「その他、日本からはウサギ、かんむり、ヤギ、カジキ、コンパスなどが台風の名称として決定しています」(白戸さん)
海水温の高い今年は台風の勢力が強くなる。9月、10月でも海水温の高い状態が続くため、まだまだ油断できない。