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赤旗日曜版編集長が告白「桜を見る会」スクープに“自民党員の協力”
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.21 21:01 最終更新日:2020.09.21 22:56
「『桜を見る会』自体は首相が主催する公的行事ですから、隠された秘密だったわけではありません。我々がこの行事を“国政の私物化”だと問題視した着眼点こそが、スクープに繋がった大きな要因なのかなと思っています」
こう語るのは、日本共産党の機関紙である「しんぶん赤旗」日曜版編集部の山本豊彦編集長(58)だ。
山本氏が率いる日曜版の取材チームが報じた「安倍晋三首相の『桜を見る会』私物化スクープと一連の報道」は、優れたジャーナリズム活動を表彰する第63回「JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞」の大賞を受賞。「赤旗」の大賞受賞は初めてだ。
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「安倍氏は8月28日の辞任表明会見で、『私は政権を私物化したつもりはまったくない』と言いましたが、実際はそうではありませんでした。政権の私物化をわかりやすい形で明らかにしたという点で、我々の報道が評価されたのだと思います」(山本氏・以下同)
「桜を見る会」の参加者は例年1万人前後だった。だが、第2次安倍政権になってから増えつづけ、2019年には約1万8000人に。さらに、2020年度予算での概算要求額は、2019年度と比べて約3倍の5729万円(2019年度は1767万円)にまで膨れ上がっていた。
山本氏は、ある自民党幹部に直接話を聞いたという。
「『総理が何百人も集めて前夜祭までやっていることは知っているでしょう』と言われました。私が『知らないですよ』と答えると『いや、そんなのは誰でも知っている話だよ』と。それを聞いたときに、これは重大な問題になると。だって税金を使っているわけですからね。ここから取材を本格化させました」
「桜を見る会」への招待者を選ぶ基準について、共産党の宮本徹衆議院議員が内閣府に資料請求したところ、開示されたのは「開催要項」だけが書かれたA4用紙1枚のみだった(2019年5月9日、宮本事務所が資料請求したその日に招待者名簿がシュレッダーにかけられ、破棄されていたことがのちに判明)。
自分たちでとことん調べるしかないと、山本氏らは取材を継続。すると、安倍氏の選挙区である山口県の後援会関係者が「桜を見る会」に多く参加していることがわかってきた。参加者たちがSNSなどに、そのときの様子などをアップしていたからだ。しかし、ネット上の情報だけでは、安倍事務所がどこまで関わっているのかはわからない。参加した後援会員に直接取材するしか、方法はなかった。
しかし、首相の後援会の会員が、自民党の政敵である共産党の機関紙の取材に答えてくれるものなのか。ここで、「赤旗」ならではの強みが発揮されたという。