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納税8万円報道も…トランプ大統領、選挙グッズ販売で圧勝中
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.09.29 18:20 最終更新日:2020.09.29 18:20
過去10年以上、所得税を納税していなかった大統領が、就任以降、納めた税額は8万円に満たない! そんなニュースが全米を驚愕させた。過去の納税情報を入手したニューヨーク・タイムズが9月27日に報道したものだ。
記事によると、ゴルフ場やホテル経営などで巨額損失を抱えていることから、個人の税額が減らされた一方、豪華な住居やプライベート・ジェット、テレビ出演用の800万円近いヘアスタイリング代など、通常なら個人支出とされるものを経費として計上、娘にはコンサル料金を支払って節税していたという。
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大統領はこれをフェイクだと全否定している。
大統領の支払った750ドルというのは、扶養家族のない年収1万8000ドル(約190万円)の人が収める額に相当する。国民への衝撃は大きく、SNSには「大学生でスターバックスで働いているけど、もっと納税している」「9歳だけど大統領より多く払った」などのコメントがあふれた。
対立候補のバイデン氏はすぐにコメントを出さなかったが、彼の選挙チームはその日のうちに新商品を売り出した。「I PAID MORE INCOME TAXES THAN DONALD TRUMP(私はドナルド・トランプよりも所得税を多く払った)」と書かれたステッカーだ。
値段は2枚で5ドル。バイデン陣営はウェブサイトに「トランプ・タックス」というページも作り、自分の年収を入力すると、大統領よりいくら多く納税したか計算してくれるようになっている。その額を見て頭に来たら、ビリオネアにも公平な支払いを求めるキャンペーンに参加しようと呼びかけている。
アメリカでは、選挙資金調達のため、さまざまなオリジナルグッズを売り出すのが通常だ。Tシャツや帽子、靴下などの衣料品からマグカップ、バッジや旗など品揃えは多種多様で、バイデン氏のページには消毒液やマスクなど、この時期ならではの商品も並んでいる。
支持者たちはお気に入りの候補者へ寄付ができると同時に、サポートを表明する意思表示もできる。一方、候補者にとっては、グッズ販売は直接の選挙資金になるだけでなく、支持者たちの名前や住所の情報が集まり、選挙メッセージが効率よく送れるようになる利点がある。
では、トランプ陣営のセールスはどうだろうか? こちらはバイデン陣営よりはるかに圧倒的な商品量で、撮影にはモデルを使い、ウェブの作りも豪華である。大統領のスローガン「MAKE AMERICA GREAT AGAIN(再びアメリカを偉大に)」の頭文字をとったMAGAハットは40種類ほどのバリエーションが並び、クリスマス用のオーナメントまである。
他にも子供用のおもちゃ、塗り絵、カフスボタン、犬用の首輪や犬用バンダナまで並んでいる。
商品につけられるメッセージもいろいろと工夫が凝らされている。バイデン氏の過去の失言をもじったものや共和党のメッセージ「BUILD THE WALL and CRIME WILL FALL(壁を作れば犯罪率が減る)」など常に新しい情報を反映させている。
実は商品販売の売り上げはトランプ陣営がバイデン陣営を圧倒しているのだ。新型コロナウイルスの外出制限が始まった3月以降、バイデン陣営は販売は止めなかったものの、スタッフの安全のためにしばらく出荷をスローダウンしていた。商品広告もしていない。
一方、トランプ陣営は、ここが商機とばかりに売り込みを続けた。お店のディスカウントコードを送り、トランプ・アプリを活用した友人紹介制度やポイント制度を導入。期間限定のパズルなど外出規制中の家庭で使える商品を投入していった。
フェイスブックの広告には5月までに730万ドル(約7億7000万円)、グーグルには2カ月強で430万ドル(約4億5000万円)を費やした。売り上げはこの2カ月間だけで400万ドル(約4億2000万円)もあったという。
売り上げでは大きな差がついているバイデン陣営。だが、ニューヨーク・タイムズは、ビジネスマン時代のトランプ氏が100億円近い損失を抱えていたと第2弾の砲撃を投げかけている。バイデン陣営はこの報道に乗って勢いをつけるのか、はたまた失速するのか。
火曜日には2人のテレビ討論会が始まる。アメリカ国民はその内容を注視するはずだ。(取材・文/白戸京子)