本記事の冒頭の取材の際、秀介氏に記者がスマホの画面でアグネスからのコメントを見せると、「これは嬉しいです。覚えていてくださるんですね」と、笑顔を浮かべた。
自身の仕事について、「今は自宅で家事をやったり、友人の仕事の手伝いをしたりですね」と話す秀介氏。いったん就職したあとに法政大学に通って卒業した兄に対して、秀介氏は現役で慶應義塾大学商学部に合格した。
「その後、秀介氏は自分で製菓会社を起ち上げたが、2002年に資金繰りが悪化したのか、会社を畳んだ」(経済誌記者)
当時、秀介氏は多額の借金を抱えていたという。取引先の関係者が語る。
「自宅を売却するなどして、なんとか返済資金に充てたようです。当時のことを秀介氏にたずねると、『親族から協力を得られなかった。清算をすすめられた』と話していました」
2002年、菅首相は当選2回めの衆議院議員。自宅のローン7000万円を3年で完済する財力があったものの、弟への “共助” は、なかったようだ。
「その後、実業家としては表に出ていなかった秀介氏だが、2017年4月に突然、兵庫県で自動車販売を中心に事業をおこなっている『株式会社ジーライオン』の取締役に就任した」(前出・経済誌記者)
同社は、75社で構成される企業グループの中核だ。秀介氏は、グループ企業5社以上で代表取締役などに名を連ねる。兵庫県の政界関係者が、ジーライオン・田畑利彦代表(54)と菅首相の繋がりを話す。
「2018年に開かれた田畑代表の息子さんの結婚披露宴に、官房長官だった菅さんが来て、びっくりしました。地元の政治家やメガバンクの幹部がいる前で、安倍政権の実力者になっていた菅さんが挨拶をすれば、『ジーライオン』の大きなアピールになりますよね」
こうした菅兄弟との関係について、田畑代表を直撃した。
――菅首相の弟・秀介氏が取締役になった経緯を聞きたい。
「首相と近いみたいに思われるのも嫌なので、言うておきますけど、政治家とか関係なく、ビジネス上の知人の紹介です。(秀介氏は)常勤の取締役で、うちの東京の店に毎日出勤してもらっています。
(詳しく答えられず)申し訳ないですが、秀介さんは『私は兄と関係なしで、すべて生きている』と言っておられますよ」
――しかし、あなたの息子さんの披露宴に、菅首相も出席していた。
「選挙で、菅さんが公明党(の候補者)の応援に入られたとき、神戸のホテルでご挨拶させてもらったぐらいで、本当に(首相との特別な関係は)ないんです。息子のことですし、披露宴については、あとはノーコメントでお願いします」
“しゃべり下手” といわれる首相の甥っ子が人気子役だったとは驚きだが、菅首相が実弟にも「自助」を貫かせたとすれば、国民にも本気で「自助」を迫ってきそうだ。
(週刊FLASH 2020年10月20日号)