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アメリカ大統領選挙、なぜトランプ氏は郵便投票を嫌がるのか

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.10.12 20:00 最終更新日:2020.10.12 20:00

アメリカ大統領選挙、なぜトランプ氏は郵便投票を嫌がるのか

郵便投票を呼びかけるポスター

 

 2020年大統領選挙の投票用紙が、アメリカの家庭に届き始めた。

 

 10月6日から期日前投票が始まったインディアナポリスでは、この週末も市役所前に投票のための長い列ができた。 アイオワ州では70万の郵便投票用紙のリクエストがあり、新記録を更新。ウィスコンシン州では前回選挙の4倍以上の人がすでに投票を済ませている。

 

 

 CNNとエジソン・リサーチの調べでは、11日までに全米で700万の投票が済まされたという。

 

 新型コロナの影響を受ける今回の選挙は、11月3日に投票所で直接投票する以外に、多くの州が期日前投票や郵便投票の機会を拡大している。

 

 たとえばカリフォルニア州の場合、選挙の登録を済ませた人全員に郵送用の投票用紙が届く。この用紙を投票所で本来の投票用紙と交換してもいいし、事前に設置された投票箱に投函しても、郵送してもいい。

 

 郵送の際は不正がないよう、さまざまな工夫が施されている。選挙登録と同じサインを投票用紙にしなくてはならず、同時に日付も記入する。投票用紙は一つ一つチェックされ、サインが異なる場合は事務所から確認の連絡が来る。

 

 用紙には不正防止のため、電子透かしや特別なバーコードが印刷され、自治体によってフォーマットもそれぞれ異なっている。

 

 投票用紙は投票日までの消印が必要で、その後17日以内に選挙事務所に到着しなくてはならない。今年は11月20日の到着分までが有効となる。自分の投票用紙が受領されたかどうかはウェブサイトでトラッキングできるようになっている。

 

 1人が2度投票する二重投票は強盗や殺人と同じ重罪だが、トランプ大統領は、郵便投票は不正の温床だとして、投票所で直接投票するよう訴えている。

 

 こうした主張はファクトチェックで訂正され、ツイッターから注記されたりしているが、過去に郵便不正は、わずかだが存在する。今年もすでにロサンゼルスに偽の投票箱が設置され、ポストから投票用紙が盗難された。

 

アメリカの投票箱

 

 共和党が郵便投票を敬遠する理由は、民主党支持者はコロナ禍で外出を避ける傾向があるのと、投票率の低い若者やマイノリティに民主党支持者が多く、投票率が上がるほどトランプ氏には不利だと見られるからだ。

 

 共和党のテキサス州知事は、人口の多い少ないにかかわらず投票箱の数を各郡に1カ所だけに減らそうとして、現在裁判になっている。人口が240万人の郡に投票箱が1つだけでは大混雑となり、お年寄りや障害者には大きな負担となる。

 

 今年は期日前投票と郵便投票が例年になく増えている。これまでの多くの調査では民主党が優勢である。だが、今後、サインの照合などで無効票が出てくる上、共和党の支持者が選挙当日に大量投票して追い上げるだろう。

 

 郵送分の開票は時間がかかることから、今年の選挙は長丁場となりそうだ。(取材・文/白戸京子)

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