2019年7月に起きた参議院選挙広島選挙区での大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われている河井克行衆議院議員(57)と妻の河井案里参議院議員(47)。
連座制の適用が想定される選挙違反事件の審理を迅速に行うことを目的に定められた「百日裁判」が進められているが、その内容は話題にことかかない。とくに法廷での動きが注目されているのが、案里被告だ。
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逮捕前は都心の高級ホテル、ザ・キャピトルホテル東急に籠城して、当時官房長官だった菅義偉首相に「騒ぎが落ち着いたら、しっかりと国会にも出席する」と、うそぶいていたという案里被告。
したたかな印象もあったが、逮捕が近づくにつれ、精神面で追い込まれていたようだ。3月末には救急車で東京都港区内の病院に緊急搬送されたが、向精神薬の大量摂取が原因だと報じられている。
夫の克行被告とは、9月15日に克行被告が自分の弁護人全員を解任したことで、現在、分離裁判になっているが、傍聴する司法記者たちからは「現在の案里被告の状態で裁判を続けられるのか」と疑問の声があがっているという。記者のひとりは、こう語る。
「コロナ禍でもあり、マスクを着用して被告人席に座る案里被告の表情を読み取るのは困難です。しかし、明らかに目がうつろで、証人の発言中にもメモを取るでもなく、じっと座ったまま。ときおり、下を向いたまま10分ほど微動だにしないときあります」
別の記者はこう語る。
「9月4日の公判では、裁判で証言に立った女性秘書に対して、克行被告が『なんで、検事のほうを向くんだよ』と、被告席から罵声を浴びせましたが、真横に座っている案里被告はピクリともしませんでした」
ところが、10月13日に開かれた案里被告の公判では、異変が起きたという。この日、検察側の証人として海徳裕志・広島市議会議員(60)が出廷。克行被告から選挙に勝ったお祝いとして30万円をまず渡され、後日、さらに20万円を渡されたと証言した。
この2回めの現金授受の際、克行被告が無理難題を言ってくるかもしれないと思った海徳市議は、ICレコーダーで会話を録音しており、法廷ではその生々しい音声が流された。
すると、その録音を聞いていた案里被告が突然号泣し、「主人の無礼をお許しください!」と叫び出したのだ。これには、裁判官や検察官ら法廷内も困惑した空気に包まれた。
「今回の一連の裁判で、案里被告が泣くのを見たのは初めてです。驚きました」(前出の記者)
つい前日の10月12日には、案里被告の4回めの保釈請求が棄却されたばかり。精神的な不安定さは、今後の裁判に、どう影響を及ぼすのか。