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トランプ大統領、最大の功績は「2対1ルール」の徹底だった
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.11.01 16:00 最終更新日:2020.11.01 16:00
僕はアメリカ共和党保守派の人に次のように尋ねたことがあります。
「トランプ大統領のやったことで、今までで何が一番すごかった?」
すると、開口一番、こう答えました。
「減税だよね」
そして、もったいぶったように間を置いた後、勝ち誇ったように、こう続けました。
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「ふふん。でも、お前、日本人だから知らないと思うんだけど、トランプ大統領の一番すごい功績は、2対1ルールなんだぜ」
「2対1ルール」を聞いたことがない人が多いと思うので、説明します。
これはトランプ大統領が就任直後に出した大統領令で、一言で言うと、「新しい規制を1つ作りたかったら、いらない規制を2つ廃止しろ」というルールです。つまり、トランプ大統領は、規制廃止をアメリカ各省庁の役人にやらせたのです。
役人というのは、細かいことを延々と議論する性質を持った人々です。
日本で、2017~18年にかけて「国家戦略特別区域制度」の名のもとに加計学園グループの岡山理科大学の獣医学部の新設が進められたことに関して、延々と、すったもんだの議論が繰り広げられていたことは記憶に新しいと思います。
そもそも、獣医学部を1つ作るかどうかの何が「国家戦略」なのか、大いに疑問です。そして、このやり方をやっている限り、いたずらに時間と労力を浪費し、新しく出来上がる規制を、廃止する規制が上回ることは困難でしょう。
「規制を廃止しろ」と言うと、役人は、1つ1つの規制が、なぜ必要なのかを、とうとうと語り始めます。それは日本もアメリカも同じ。しかし、1つ新しい規制をどうしても作りたいのなら、いらない規制を2つ持ってこいと言うと、役人は、どれがいらないか白状するのです。
役人がなぜ規制を作りたがるか。それは自分の実績になり、出世や天下りにつながるからです。作成者は、その規制や関連法案に関するエキスパートですから、その分野の専門家として一目置かれることになります。
役人がなぜ規制を守ろうとするか。それは先輩の功績だからです。今現在、先輩がそれで飯を食っているかもしれませんし、まして規制を廃止して先輩の面子を潰すことなど怖くてできません。
そのため、放っておけば、役人は今ある規制を守りながら、新しい規制を作り出します。しかし、2対1ルールがあれば、自分の実績を作るために、過去のいらない規制廃止に取り組みます。それが役人です。たとえ先輩を裏切ることになっても、背に腹は替えられません。
そういう役人の習性をうまく利用して、2対1ルールを徹底させ、トランプ大統領は次々と規制を廃止・延期しました。
この「2対1ルール」ですが、実は、1つ新しい規制を作るために、2つどころか、はるかに多くの規制を同時に廃止しています。
というのも、「2対1」は規制の数だけでなく、規制の経済効果で測られているからです。厳密に言うと、「新しく作る規制の経済損失は、廃止する古い規制の経済損失以上であってはならない」という話なのです。
あるとき、トランプは豪語しました。
「新しい規制1つにつき22の規制を廃止した」
これはホワイトハウスの自己申告の数字ではありますが、数え方によって数字自体はマチマチです。2017年から2019年までの合算で、新設1つにつき8個の規制が廃止されています。
このことからも、役人は、それなりのインセンティブを与えてやれば、自ら進んでいらない規制を探してくれるということがわかります。
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以上、渡瀬裕哉氏の新刊『税金下げろ、規制をなくせ~日本経済復活の処方箋』(光文社新書)をもとに再構成しました。上がる一方の税金と規制に苦しむ日本が打つべき手とは。俊英の政治アナリストが、日本人に刷り込まれた「洗脳」を解きます。
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