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アメリカ大統領選、トランプ陣営が「選挙の不正」を声高に主張する理由は?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.11.05 19:58 最終更新日:2020.11.05 19:59

アメリカ大統領選、トランプ陣営が「選挙の不正」を声高に主張する理由は?

全票集計を求めるデモ(写真:AFP/アフロ)

 

 大統領選で劣勢が伝えられ始めたトランプ大統領は、「昨夜の時点で、民主党の知事がいる主要州で確実にリードしていた。しかし、突然出てきた票が集計されると、次々と魔法のように消えていった。とても不思議だ」とツイートした。

 

 

 さらに、「秘密裏に大量の投票が投棄されたとされるミシガン州に対して再集計を求める」とも投稿。いずれも開票作業の不正を疑った内容だ。ツイッターはこうしたつぶやきを「誤解を招く」として非表示にしている。

 

 接戦が続く大統領選挙は、まだ大量の票が未集計のままだが、「票の集計をやめろ」派と「すべての票を集計しろ」派の対立が激しくなってきた。未集計の票は郵便によるものが多く、バイデン票が多いと考えられている。

 

 トランプ大統領としては今後自分が不利になる可能性が高いことから、なるべく早く開票を切り上げたい。すでにミシガン州とペンシルベニア州、ジョージア州の集計をやめるよう訴訟を進めている。またウィスコンシン州などでは票の数え直しを求めた。

 

 トランプ・サポーターたちは各地で票の集計をやめるよう叫んでいる。アリゾナ州では武装したサポーターが増えてきたことから、集計所を閉鎖して保安官に守られながら集計作業を続けている。ミシガン州デトロイトの集計所もガラス窓を板で覆い始めた。

 

 一方、すべての票を集計するよう主張するデモがニューヨークやミネアポリス、ロサンゼルス、シカゴなどでおこなわれた。ポートランドでは一部で暴動が始まり、ナショナル・ガードという訓練された民間グループが要請された。

 

 日本の感覚では「すべてを開票しない理由」がわからないが、これはいったいどういうことなのか。在米ジャーナリストの白戸京子さんが説明する。

 

「トランプ大統領は投票の不正を最高裁まで争う姿勢ですが、いまの最高裁は保守派判事6人、リベラル判事3人の構成になっていて、トランプ陣営に有利な判決が出る可能性があるんです。

 

 また、現在開票が進んでいるのは『選挙人』です。この選挙人が12月14日に投票した結果で大統領が確定します(2021年1月6日)。もし裁判が長引いて選挙人が決まらなければ、その州の選挙人は投票できません。要は、裁判や開票中止による時間稼ぎを狙っているわけです」

 

 国土が広く、郵便が機能不全を起こしているアメリカでは、郵便投票への信頼が低い。トランプ大統領は、そこを攻撃することで、有利な展開を狙っているわけだ。

 

 ただし、もし混乱が続いて選挙人投票で確定しない場合、下院が新大統領を選ぶことになる。下院はバイデン陣営の民主党が多数となる見込みのため、トランプ陣営には不利になりそうだ。

 

 大統領選挙の混乱で、アメリカ各地で治安への不安が増している。国民の選挙疲れも強く、SNS上では大自然や動物など癒される写真の投稿が大量に寄せられているという。

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