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元新潟県知事に提訴された自民党“ネトウヨ市議”の言い分「ツイートが現存しないため…」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.12.04 11:00 最終更新日:2020.12.05 07:51

元新潟県知事に提訴された自民党“ネトウヨ市議”の言い分「ツイートが現存しないため…」

 12月3日、作家の室井佑月氏(50)が、木曜コメンテーターをつとめる情報番組『ひるおび!』(TBS系)を降板することを発表した。2020年5月に結婚した、夫で元新潟県知事の米山隆一氏(53)が、11月27日に次期衆院選への立候補を表明したことを受けてのものだ。その一方で、気になる裁判が――。

 

 

 米山氏が、自民党の岡田裕二神戸市議会議員に対し、名誉毀損による損害賠償550万円を求める訴えを起こし、12月1日に第一回口頭弁論が開かれたのだ。

 

 原告となった米山氏に話を聞いた。

 

「私が9月28日に、ツイッターで『本日4時に、黒瀬深と言うアカウントについて、ツイッター社に発信者情報開示の仮処分命令が発令されたことをご報告致します。これは第一歩にすぎませんが、粛々と手続きを進め、適切な言論環境の確立を目指したいと思います。』と書き込んだのが発端でした」

 

 米山氏が言う「黒瀬深」なる人物は、フォロワー数12万を超えるツイッター上の有名アカウントで、米山氏や妻の室井氏のことをたびたび批判してきた。

 

「そうすると、岡田氏が次のようにツイートしたんです」(米山氏)

 

<弱い者いじめしかできない、一般市民を迫害することしかできない卑怯者!人間のクズ!最低の人間!訴えるなら、住所も氏名も明らかな私を訴えろ!!お前みたいな政治家がいるから、政治が国民の希望になれないんだ! 卑劣漢! 腰抜け! @RyuichiYoneyama #米山隆一氏のスラップ訴訟に抗議します>

 

「これを見て、私もさすがに行きすぎだろうと思って提訴することにしました」


 つまり、黒瀬氏と米山氏とのやり取りに、岡田氏が突然“参戦”してきた形だが、当の岡田氏は徹底抗戦の構えだという。本誌は岡田氏の主張を聞いてみた。

 

「黒瀬氏とは直接お会いしたこともなければ、DMでやり取りしたこともありません。ただし、非常に機知に富んだツイートをされるので、フォローしておりました。米山氏は元知事であり、政治に一定の影響力を今なお有する立場で、今は公党の被推薦者として衆議院議員候補予定者でもある人物。

 

 そんな米山氏が、一般市民に対して、『自分に対する批判をやめなければ、法的に攻撃をする』という脅迫を加えることを許せないと思い、彼に対する批判を展開しました。黒瀬氏と特別な交友関係があったから取った行為ではありません」

 

 そう話す岡田氏だが、訴訟の発端となった「卑怯者!人間のクズ!~」という9月28日のツイートは、すでに削除したのか、本誌では現物を確認できなかった。

 

 岡田氏に確認すると――。

 

「それらの表現を含むツイートが現存しないため、その文言の正確性については、お互いの裁判における主張の中で相違、争いがあります。ただし、黒瀬氏に対する脅迫の度合いを深めていた米山氏に対し、『むしろ私を訴えろ』という趣旨の主張をしたことは間違いありません」

 

 岡田氏からは “ツイ消し” したことについて、まるで勝手にツイートが消えたかのような不思議な物言いで返答があった。

 

 また岡田氏は、米山氏の提訴は「スラップ訴訟(=相手の言論を封じ込めるのが目的の訴訟)だ」と主張する。

 

「米山氏は準備書面の中で、私が『訴訟を私にしたらよい』とツイートしていたから提訴したまでだ、と主張しています。これは明確な訴権の濫用でスラップ訴訟の最たるものです。国民の訴権という正当な権利を濫用し、『恫喝』や『圧力』で言論を封じることを、元知事であり衆議院議員候補予定者がおこなうというのを、許してはならないと考えています」

 

 最後に「ネトウヨであることを誇りに思っている」とツイッター上で公言している岡田氏に「ネトウヨとは?」と尋ねた。

 

「相手に『ネトウヨ』というレッテル貼りをすれば、その人に対する言論弾圧でも脅迫でも、何をしても構わないという、日本のSNS上の言論に危機を感じ、『ネトウヨ宣言』をしました。

 

 私のネトウヨの定義は

 

(1)国を愛し
(2)弱者を助け
(3)日本の歴史と伝統文化を尊び
(4)自由と平和を希求し
(5)皇室の弥栄を護ること

 

 です。つまりは、ごくごく普通の一般人です」

 

 いきなり他人を「人間のクズ!」「卑劣漢」と罵ることは、「日本の伝統文化」とは相容れないものを感じるが――。
 はたして、“ネトウヨ市議” の言い分は法廷で認められるのか。

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