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東京・千代田区長が掘った「6億円の地下鉄出口」東京メトロと合意なしで“無駄遣い”に

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.01.06 06:00 最終更新日:2021.01.06 06:00

東京・千代田区長が掘った「6億円の地下鉄出口」東京メトロと合意なしで“無駄遣い”に

「麹町仮住宅」に作られた直結口は、未完成のまま臨時の駐輪場に

 

「千代田区では、老朽化した区営住宅の建て替え工事のため、一時転居用の仮住宅を建設してきました。そのひとつで、間抜けな理由から、6億円の無駄遣いが起きたのです」

 

 そう話すのは、東京・千代田区議会の木村正明議員(65)だ。木村議員が話す仮住宅とは、千代田区平河町にある「区立麹町仮住宅」のこと。

 

 

「麹町仮住宅は、東京メトロ・永田町駅の近くにあり、区は建て替え費用と別に約6億円の追加予算をつけ、永田町駅と建物との直結口を整備しました。

 

 しかし、地上部分と地下へのエレベーターの工事が終わったのに、掘られた “穴” が肝心の永田町駅と繋がる気配は一向にありません。一部の区議が東京メトロに工事状況を問い合わせたところ、メトロ側は『区が直結口を作ることに合意していない』というのです」(木村議員)

 

 結果、麹町仮住宅に作られた直結口は、未完成のままで “蓋” をされた状態だ。工事再開までは、臨時の駐輪場として使われている(冒頭の写真)。

 

「工事が強行された背景に、この計画が区長の発案だったという事情があると聞いています」(同前)

 

 2017年2月に、小池百合子都知事(68)らの支持を得て5回めの当選を果たした、千代田区の石川雅己区長(79)。石川区長については、2020年3月、千代田区内の約1億円のマンションを、一般に販売されない「事業協力者枠」で優先的に購入した疑惑が報じられ、追及が続いている。

 

「当初、区は『工事費用はメトロが持ってくれるはず』という腹づもりでした。だが実際には、直結口の設置は、費用を全額自己負担する事業者にしか、メトロ側は認めていないのです。

 

 この建物は、住民の一時転居用の仮住宅。引っ越しもあり、大幅な完成の先延ばしはできません。そのため、石川区長肝煎りの直結口についても、『合意はないが、とりあえず作ってしまえ』という形になったんです」(区役所関係者)

 

 区側が直結口のためにつけた予算は、地下への “縦穴” を掘った段階で、使い果たされた。続けて直結口の建物側と駅を繋ぐ工事をおこなうには、最低でも10数億円程度の追加予算が必要だという。

 

 麹町仮住宅の経緯について、千代田区に事実確認を求めると、「まだ議会にも説明していないので、取材に答える内容はありません。直結口は住民から設置要請があり、メトロに請願しました」と回答した。

 

 一方の東京メトロは、「千代田区との協議内容は答えられません。ですが、弊社が管理しない出入り口については、事業者が費用負担して工事をおこなっています」との回答だった。

 

 やはり、東京メトロは費用を全額負担する事業者にしか工事を認めていない。直結口を完成させるには、千代田区が折れるしかないのだ。1月末には区長選が控え、区民の視線を意識したのかもしれないが、火事場の “区民ファースト” は逆効果かも――。

 

(週刊FLASH 2021年1月19日・26日合併号)

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