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アメリカ議会乱入事件で続々と逮捕者…ついに「水牛男」も捕まる

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.01.10 18:00 最終更新日:2022.12.07 15:30

アメリカ議会乱入事件で続々と逮捕者…ついに「水牛男」も捕まる

水牛男(写真:ロイター/アフロ)

 

 1月6日、ワシントンではトランプ大統領を支持する人々が連邦議会に乱入し、次期大統領の正式な選出を妨害した。騒動はまもなく収まり、バイデン大統領の就任が決まったが、その後、次々と乱入者たちの身元が発覚し、逮捕されている。

 

 インターネット時代の今は、SNS上にさまざまな証拠が残っているため、FBIは捜査にツイッターを活用。まず乱入者の画像提供を呼びかけ、その後、画像をまとめて公開して情報を集めている。パイプ爆弾を仕掛けたと思われる者の情報には5万ドル(520万円)の報償金がかけられた。

 

 

 人々の反応としては、逮捕してもらいたい政治家の写真を載せるなど反抗的なものも多いが、何千件もの情報が寄せられているという。これまで逮捕された人物は、極右団体の重要メンバーや活動家、多数の武器を所持していた者など。先日の選挙で初当選したばかりの州議会議員も、自らの動画をSNSに上げ、後に削除したが、証拠が残って逮捕となった。議員は辞職している。

 

 一方、首から社員証をぶらさげたまま議事堂に突入した会社員は、即座にクビになった。突入の様子をライブ中継した弁護士も解雇、大学の教員や会社CEOなど多くの人が職を追われている。こうした人物たちの逮捕も間近だろう。

 

 そうしたなか、一躍有名になったのが、水牛の角をかぶり半裸で顔を3色に塗った男性だ。人々からJake Angeliと呼ばれ、俳優の卵と言われているが、実際に俳優経験はないと見られる。イギリスのバンド「ジャミロクワイ」のメンバーに似ていると噂になったが、本人が否定コメントを出すなど、世界中で話題となった。

 

 彼は9日に逮捕された。「Qアノン」と呼ばれる陰謀論の熱狂的な支持者で、「Qアノン・シャーマン」というインフルエンサーとして知られる。今回の突入劇について、「大統領のリクエストで参加した」「我々は議事堂で多くの裏切り者を地下へ追いやった。これは勝利だと言える」とメディアに答えていた。

 

 Qアノンの唱える説は根拠のないことが多く、FBIからはテロの脅威を及ぼすものと警戒されている。フェイスブックやツイッターがかねて投稿の削除に苦心しているが、今回の乱入に際し、相当数の投稿があったことがわかっている。

 

 ツイッターやフェイスブックはトランプ大統領のアカウントを停止したが、ほかにもレディット、TikTok、大統領がアカウントを持っていないピンタレストまで、ほとんどのSNSで大統領やQアノンに関する情報が掲載できなくなっている。

 

 発言に制限がかからないため、トランプ支持者たちが集まる「Parler」と呼ばれるアプリは、グーグルとアップルストアから削除され、アマゾンも追随する。結果、大統領近辺やQアノンのSNS上の発言の場は急速に絞られてきた。

 

 これまで何かあると弾丸のようにツイッターで自論を展開してきた大統領も、発言の場が激減した。自身のプラットフォームを設立すると言われるが、それまでは発言回数も大幅に減るだろう。もちろん、このまま黙って引き下がるわけもなく、早ければ月曜日にもSNS運営企業に対抗手段を取ると報道されている。一方で民主党が進めている弾劾の訴追決議案も月曜日に下院へ提出される見込みだ。

 

 Qアノンのなかでは、「1月20日の就任式で再びトランプ大統領が就任する」とまことしやかに語られており、過激派たちは、この日を「最後のチャンス」として就任式の前に集結する動きを見せている。大統領の任期が10日を切った今も、警戒の日々が続いている。(取材・文/白戸京子)

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