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東京五輪、返上したら「二度と日本で五輪は開けない」長野五輪を招致した男が警告

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.01.26 06:00 最終更新日:2021.01.26 06:00

東京五輪、返上したら「二度と日本で五輪は開けない」長野五輪を招致した男が警告

2020年11月、IOCのバッハ会長と会談した菅総理

 

「中止という選択肢はありませんよ。今も、準備は着々と進んでいます」(東京五輪の運営に携わる関係者)

 

 7月23日に予定されている東京五輪の開会式まで、あと半年を切った。収まることのない新型コロナウイルスの感染拡大を受け、にわかに中止や再延期について報じられるようになってきたが、1月21日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は「7月に開催しないと信じる理由は、現段階では何もない」と発言し、その可能性を否定した。

 

 

 しかし、五輪の中止・再延期を望む声は根強い。NHKの世論調査(1月13日発表)によれば、東京五輪・パラを開催すべきか、という質問に対し、合わせて77%が「中止すべき」「さらに延期すべき」と回答。「開催すべき」の16%を大きく上回った。

 

 ただし、中止を決めたら今度は、大きな経済損失が発生するのでは、との指摘がある。宮本勝浩・関西大名誉教授の試算によれば、大会が中止された場合の経済損失は4兆5151億円にのぼるという。

 

「コロナが収束しないなか、さらなる負担は難しいと音を上げるスポンサー企業もあるそうです。とはいえ、後には引けないというのが共通認識です」(前出・運営関係者)

 

「五輪開催の実質的な決定権を握っているといわれる、米国のテレビ局であっても、中止による損失は保険でほぼゼロになるはずです。1980年のモスクワ大会(旧ソ連)を米国がボイコットした際も、保険でカバーされました」

 

 そう語るのは、スポーツコンサルタントの春日良一氏。元JOC国際業務部参事で、1998年の長野冬季五輪招致を成功に導いた立役者だ。春日氏は、「五輪を日本側の意思で中止すると、経済損失以上に大きな問題を引き起こすことになる」と警告する。

 

「IOCが中止すると言う前に日本側から五輪開催を返上するようなことになったら、IOCに見切りをつけられます。培ってきた信頼を失い、もう二度と、日本で五輪を開催することはできないでしょう」(春日氏・以下同)

 

 これまでも五輪は、疫病をはじめとした、さまざまな困難を乗り越えながら、開催されてきた歴史がある。

 

「もともと、オリンピアード競技大会(夏季オリンピック大会)は4年に1回、武器を捨てて世界中からスポーツ競技大会に集まることで、戦争をやめ、疫病をなくすことが目的だったんです。

 

 1920年のアントワープ大会(ベルギー)は、スペイン風邪の流行直下で、世界で少なくとも4000万人が亡くなった直後でしたが、それでも開催されました」

 

 ほかにも、1996年のアトランタ大会(米国)では、大会期間中に爆弾テロが発生。それ以降、テロ対策が五輪の重要な課題になった。

 

「2010年のバンクーバー冬季大会(カナダ)の際は、豚インフルエンザが蔓延していました。それを踏まえ、2012年のロンドン大会(英国)では公衆衛生対策を徹底し、2016年のリオデジャネイロ大会(ブラジル)では、流行していたジカ熱への対策をとり、開催に至りました。

 

 感染予防について、五輪では過去の大会での積み重ねがあるのです。ですから今回、『日本はコロナ禍の難局のなかで、こうやって五輪をやるんだ』という、世界を納得させるメッセージを発信することが求められています」

 

春日氏は長野県出身。地元開催となった長野五輪の招致に尽力した

 

 では具体的には、どのような対策があるのか。

 

「五輪は17日間の短期決戦。より機能的に、コンパクトにおこなうことです。とくに選手村をどうするかが重要で、選手村は2人で1部屋が慣例ですが、今回は1人1部屋にするなどして感染を抑制すべきですね。

 

 そのうえで、すべての観客を入れるのか、半分にするのか、無観客にするのか。五輪の場合、海外からの観客は10〜20%ですから、国内からだけの観客で開催しても、そんなに損失が大きいわけではありませんし、完全に無観客にしても予備費から補填されます。

 

 中止しても保険でカバーされるため、組織委もIOCも損害は負いません。だから中止にせよ無観客開催にせよ、出場選手の最終エントリーがおこなわれる7月まで、最終判断を待つことも可能なのです」

 

 新国立競技場の設計トラブル、エンブレムの盗作疑惑、新型コロナウイルスと、東京五輪はさまざまな問題に見舞われてきた。

 

「菅首相、小池都知事、森組織委会長らが、『世界と手を取り合ってコロナに打ち勝つんだ』という理念を再認識し、協力を求めるべきでしょうね」

 

 選手だけでなく、日本国民全員にとっても “勝負” の年なのだ。

 

写真・時事通信

 

(週刊FLASH 2021年2月9日合併号)

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