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コロナ禍の裏で「東京メトロ駅売店」が激減…直近5年で約90カ所が閉店していた

社会・政治 投稿日:2021.01.27 20:53FLASH編集部

コロナ禍の裏で「東京メトロ駅売店」が激減…直近5年で約90カ所が閉店していた

 

 2021年に入り、はや1カ月。この1年間で2回めとなる「緊急事態宣言」が発令されており、1月27日には政府による “宣言継続” の検討が報じられた。

 

 非常時に印象的な街の風景のひとつに、駅ナカ店舗の営業自粛がある。改札内外にある飲食店や駅売店がシャッターで閉じられ、移動中や合間時間に “不便さ” を感じた方も少なくないだろう。だが、2020年春の自粛期間が終わっても、そのまま営業再開に至らず、閉店した店舗も数多い。

 

 

 そのうちのひとつが、本誌編集部がある東京メトロ有楽町線・護国寺駅だ。2020年9月末、改札横の売店に「閉店します」の張り紙が掲示され、閉店後は地方の製菓店などが、期間限定の売り場として、スポット的に利用している

 

 近隣の駅に思いをはせれば、東京メトロ飯田橋駅にいくつかあった売店も閉店している。売店があった場所は、護国寺駅のようにスポット販売所になったり、大量の自販機に変わっていたり、テナントを募集していたり……。

 

 ほかの閉店状況を調べると、同じ9月末には、代々木上原店(千代田線)、荻窪店(丸の内線)も閉店していた。このまま駅売店はなくなってしまうのだろうか? 駅売店の運営管理状況について、東京メトロコマースを取材した。

 

「護国寺駅の『メトロス』(東京メトロの駅売店)は、ほかの業態の店にするか検討している段階で、一時的に閉店している状態です。2020年度でメトロスは、すでに14店舗閉店しています。

 

 ただし、閉店した理由や閉店した駅名などは公表しておりません。ホームページに掲載している情報以外は、お答えを差し控えさせていただきます」(東京メトロコマース総務部)

 

 そこで同社のホームページを見ると、現在、営業しているメトロスは13店舗のみになっている。いくらなんでも、東京メトロの駅売店が、こんなに少ないわけがない。本誌が取材を進めると、こんなカラクリがあった。

 

 2015年、東京メトロコマースはコンビニ大手のローソンと提携し、約50店舗を2~3年かけて「ローソンメトロス」に転換する予定を発表していたのだ。これら「ローソンメトロス」に転換した店舗は、ホームページにはすでに掲載されていないというわけだ。ところが、その「ローソンメトロス」も、現在はまだ24店舗。「メトロスすべてを、ローソンメトロスにする予定ではありません」(同前)というが、転換計画も予定どおり進んでいない。

 

 そして、さらに興味深い事実が。じつはローソンとの提携を発表した時点では、メトロスは140店舗ほど存在していた。つまり、2015年から2020年までの5年間で、「ローソンメトロス」としても残ることもなく、90店舗ほどのメトロスが閉店した計算になる。

 

「東京メトロには140駅ほどあり、メトロスの閉店が続いていますが、改良工事で一時的に閉店を余儀なくされるケースもあり、理由は一概には申し上げられません。

 

 コロナ禍が、特別に影響しているというわけでもないんです。閉店するだけでなく、売店以外の業態に変わるケースもありますので」(同前)
 

 鉄道関連のある労働組合の関係者は、こう語る。

 

「東京メトロでは少し前から、売店がコンビニ名義に変わったり、自販機になったり……という流れはありました。東京メトロだけでなく、大阪の市営地下鉄、東京の都営地下鉄でも、売店は全体的に無くなっていく傾向にあります」

 

 コロナ禍もあいまって、合理化は避けられない社会である。しかし、通勤サラリーマンの “心の寄る辺” がなくなってしまうのは、なんとも寂しい。

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