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中国で進む「人工降雨」作戦…気象兵器に進化する可能性も

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.01 20:00 最終更新日:2021.02.01 20:00

中国で進む「人工降雨」作戦…気象兵器に進化する可能性も

中国の人工降雨実験(写真:アフロ)

 

 中国で、人工的に雨や雪を降らせる動きが加速している。1月下旬には、広い範囲で人工降雨作戦が実施された。2008年の北京オリンピックで人為的に雨を降らせ、開会式を青空で迎えたのは有名な話だが、その技術がかなり普及してきたということだ。

 

 

 中心となるのは「クラウド・シーディング」と呼ばれる手法で、ロケットや飛行機で雲の中にヨウ化銀などをばらまくもの。ヨウ化銀は氷と似た結晶構造で、雲のなかに放たれると周囲の粒とくっついて大きくなり、やがて地上に落下する。気温が低ければ雪になるし、高ければ雨となる。ドライアイスや塩が使われることもある。

 

 気象予報士の白戸京子さんがこう話す。

 

「人工降雨の歴史は古く、1946年にアメリカで発見され、1960年代には中国で実験が始められています。世界中で実験が進められていますが、規模でいえば中国が世界最大でしょう。

 

 中国は2017年、175億円ほどの予算で飛行機4機と897基のロケットランチャーを導入し、2019年には新疆ウイグル自治区の雹(ひょう)による被害を70%減らしています。このプロジェクトには3万5000人が雇用されているそうです」

 

 2020年12月にはさらなる規模の拡大が発表され、2025年までに国土の56%に相当する550万平方キロで人工降雨を起こし、58万平方キロ以上の土地で雹を抑える作戦を実施する。2035年までに、この分野において世界最先端になることを目指している。

 

「中国気象局によると、1月下旬、中国各地で人工降雨がおこなわれたようです。ちょうど日本の南海上にある低気圧から中国本土まで前線が伸びていて、広範囲に雲が広がっていたことから、ロケットを打ち込むのに抜群のタイミングだったのでしょう。

 

 新疆ウイグル自治区では1月22日夜に実施され、地域によって3センチから8センチの降雪がありました。24日夜には河北省でロケットが23基発射され、平均で0.8ミリ、多いところで4ミリの降水量がありました。

 

 飛行機と地上の両方から実行した場所では降水量が倍増し、平年の降水量が0.9ミリのところに3センチの積雪があり(1センチの雪で1ミリくらいの降水量に相当)、火事防止と土壌の水分増加に貢献したとのことです」(白戸さん)

 

 このほか、山西省や安徽(あんき)省、浙江省、山東省、江西省、陝西(せんせい)省などでもおこなわれ、いずれも旱魃解消などに役立っているという。

 

 ただ、人工降雨が大規模におこなわれたときの、環境への影響は未知数だ。川の上流で大量の雨が降れば、その水が下流の国々に流れ込む。また、雨の降る場所が変われば、逆に乾燥するところも出てくるはずだが、そうした影響はきちんと検証されていない。

 

「この技術は、戦争の際、敵地に大量の雨を降らせる気象兵器となりえます。雨だけではなく、霧や嵐を引き起こしたり、もっと進化すれば、世界の農業システムに悪影響を与えることもできるでしょう」(白戸さん)

 

 影響は中国国内だけにとどまらない。科学が神の領域に一歩近づいたことで、いつか強烈なしっぺ返しが来るかもしれないのだ。

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