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コロナ自宅療養者に届く「配食サービス」6つの自治体を抜き打ち評価…管理栄養士が選ぶ1位は?
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.17 19:54 最終更新日:2021.02.17 20:19
新型コロナウイルス感染者数増の “第三波” を受けて、地方自治体による提供が始まった「配食サービス」。細かい条件は各自治体によるが、検査で陽性と判定された人のなかで、入院やホテルなどでの宿泊療養ができず、保健所から自宅療養を申し渡された人が、希望を出せばサービスを受けられる。
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本誌が入手した、6つの自治体の配食サービス内容【東京都、埼玉県、千葉県、墨田区(東京都)、柏市(千葉県)、神戸市(兵庫県)】について、管理栄養士の黒木あかね氏に評価してもらった。冒頭の画像は、東京都の配食サービスの中身だ。
「年末年始に急激に患者さんが増えたことにともない、自宅療養する方も増えました。基本的には、症状が軽微または無症状の方が多いと聞いています。『配食サービス』は無料で受けられますので、希望される方も多いんですが、全自治体に共通する印象として、きちんとした栄養管理まではされていないなあと。
もちろん、それは責められるべきことではありません。配食サービスは、『外出せずに自宅療養に専念してもらうために、ご自身やご家族などでは食料を入手できない方』を対象に提供されています。配食サービスをおこなっている部署も、自治体によってさまざまですし、『まずは届ける』ことを優先して提供されているものと思われます。
生鮮食品が含まれないのは、『日持ち』を考慮しているからです。基本的には『発症から10日間』が自宅療養の期間なのですが、提供されているのは、おおよそ7日ぶんですね。看護師さんによれば、『自宅待機の期間は平均1週間ほど』とのことで、そうした医療現場の視点をもとに準備されているのでしょう」(黒木氏、以下同)
一部の自治体の配食サービスでは、「栄養が偏っている」などと批判も出ているが……。
「『1食1500円/1日4500円まで』と厚労省で上限が決められていますのと、配食サービスは無料で配布されていますので難しいところではありますが……多少、改善の余地はあるかと思います。配食サービスは、年配の方が希望するケースが多いようですから、咀嚼が難しい方のことをもう少し考慮できるといいですね。
たとえば同じ出来合いの食品でも、今回拝見したすべての自治体で提供されている(ケーキ、ワッフルなどを含めた)菓子パンやお菓子、東京都・埼玉県・千葉県が採用しているカロリーメイトなどよりは、同3都県+神戸市にあるレトルトのおかゆのほうがいいでしょう。
でも逆に、柏市以外で提供されているゼリー飲料ですと、今度は咀嚼感がなさすぎて満腹中枢が刺激されにくいという問題が起こりえます。だから、“食べやすい” ぐらいを意識していただくのがいいですね。
また、全体的にどうしても野菜が不足してしまいます。たとえば野菜ジュースでも、神戸市が提供しているような果実入のものより、埼玉県だけが提供している、果汁の入っていない100%タイプの野菜ジュースや100%の無塩トマトジュースなどを、もう少し増やせるといいですね。
どの自治体でも提供されていませんが、最近では野菜が多めのレトルトスープも数多く販売されていますので、そういったものも採用するといいと思います」
一方で、理にかなっている点もある。
「無症状でも免疫力を下げないために、まずはカロリーを摂取していただきたいです。7日間で分食すると考えた場合、各自治体の配食サービスだけでカウントすれば、危険なレベルのカロリー過多にはなりませんので、問題ありません。
ただ、注意していただきたいこともあります。全自治体が提供しているカップ麺や菓子パン、神戸市が提供するフルーツグラノーラなどは手軽で食べやすいのですが、1個あたり400kcal以上あるものも多く、1食ぶんのカロリーと変わりません。ただ、この1個ぶんだけで満足できる方は少ないと思います。
柏市以外で提供されているゼリー飲料や、東京都・埼玉県・千葉県のカロリーメイトにも同じことが言えますが、お腹が満たされないからと一度に何個も食べたり、追加で別のものを食べたりしてしまうと、カロリーオーバーになってしまうんです。
その結果、菓子パンやカップ麺など手軽な炭水化物に頼ってしまって、短期間で肥満状態に陥ってしまうのは、災害時などにもよくあるケースです」