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アメリカを襲う記録的な寒波…トヨタもフォードも工場停止に

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.19 20:00 最終更新日:2021.02.19 20:00

アメリカを襲う記録的な寒波…トヨタもフォードも工場停止に

 

 記録的な寒波がアメリカを襲っている。2月12日から16日の間に出た寒気に関する気象台の新記録は、少なくとも2400に上っている。16日には米国本土の73%が雪に覆われた。

 

 ふだんなら2月でも日中の気温が20度を超える温暖なテキサス州も、例外ではない。ダラスやオースティンといった都市部でマイナス15度近く、北部アマリロはマイナス23度まで下がり、積雪が20センチを超えた。雪はメキシコとの国境付近でも24センチを記録している。

 

 

 電力需要が間に合わず、一時は300万世帯が停電。あちこちで発電設備が凍結し、水道管も破裂した。多くの住民が停電だけでなく、断水の憂き目に遭っている。

 

 道路も凍ったことで、修理もままならない。そのうえ悪いことに、停電で水道局の浄水機能もうまく働かなくなった。運よく水が出ている1300万人近くに向け、自分たちで水を沸かして浄水せよという「ボイル・ウォーター・ノーティス」なるものが通知された。水を沸かせなければ、漂白剤を入れて消毒しろとのことだ。

 

 逆境でも明るいテキサス人は、オーブンの中でキャンドルを灯して鍋の水を温めている写真や、あふれんばかりの雪が載せられた鍋、沸かしすぎて水がなくなった鍋の写真などをSNSに投稿して楽しんでいる。

 

 しかし、冗談で済む人はいいが、トイレの凍結、天井にできたつらら、車がまるごと凍結、天井から漏れた水が滝のように流れている画像なども投稿されていて、被害の深刻さがうかがえる。また、屋外用のヒーターを室内で使って暖を取ろうとした人が、一酸化炭素中毒になったり火事を起こしたりする事故も多発した。

 

 テキサス州はアメリカの原油の4割を生産しているほか、多くの工場がある。トヨタ自動車、フォード、GM、そして半導体などの工場の多くが操業停止している。日本への影響も必至だろう。

 

 いったい今回の大寒波はどうして起きたのか。気象予報士の白戸京子さんに理由を聞いた。

 

「冬の北半球では、ジェット気流が北極を中心にぐるぐると円を描くように流れていて、この内側で渦を巻く空気のかたまりを『ポーラーボルテックス(極渦)』と呼びます。

 

 通常ですと、寒気はその円の内側にたまっているんですが、今回、ジェット気流が一時的に弱まり、ポーラーボルテックスが崩れてしまったんです。そのため、内側にあった冷たい空気が南へ這い出してきたのです」

 

 今回は、寒気がアメリカのど真ん中とヨーロッパ、そしてアジア東部まで大量に流れ込んで来たという。

 

「テキサスの低温は峠を超え、週明けには徐々に気温は上がる見込みです。ただ、氷や雪が溶ける際も事故が起きやすいので、注意が必要です」(白戸さん)

 

 水道は、ある程度、水圧が高くならないとサービスが再開できない。今回のように多くの場所で水道管が破裂すると、復旧には予想外に時間がかかってしまう。

 

 今回、日本列島では被害が少なかったが、いつ大寒波が来るかはわからない。いざというときの準備を考えておきたい。

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