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「時短要請」を拒否する“飲食店19店舗”社長「今後も過料を払ってでも営業は続けていく」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2021.02.23 06:00 最終更新日:2021.02.23 06:00
「2020年に緊急事態宣言が出て以来、毎月の赤字はだいたい1000万円。年間通しても創業以来初めて、約9000万円の赤字決算(2020年9月決算)になりました」
そう語るのは、福岡県を中心に「ホームラン食堂」「ごちや」など19店舗を運営する飲食店チェーン、株式会社イーストウッドの棟久裕文社長(43)だ。
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「雇用調整助成金や、国と自治体の家賃支援給付金、それに持続化給付金もいただきました。弊社の場合、従業員の法定福利費(健康保険や雇用保険の会社負担分)も含めた、会社全体の固定費は月に約4000万円で、全店舗で1日あたり6万円の休業協力金をもらっても、月に1000万円以上の赤字になります」(棟久社長・以下同)
棟久社長は当面の資金繰りとして「福岡県の融資制度」「政策金融公庫」「商工中金」から、合計約4億円を借り入れたという。事業の継続に目途は立っているものの、2020年の総売上が15億円というから、借り入れは大きな負担になる。
そうした事情もあり、イーストウッド社は全19店舗のうち、7店舗で緊急事態宣言下の時短要請に従わず、20時以降も営業を続けてきた。
「緊急事態宣言以降、客足の低下によって、シフトの人数を減らさざるを得ませんでした。そのことで、アルバイトスタッフの離脱が増え、社員の負担は増えています。経営資源を集中させるために、7店舗だけ営業しているんです。
もちろん、私の報酬は100%カットしました。2020年冬の賞与は出せませんでしたが、社員の給与額は維持しています。解雇もしていません。
もし宣言が解除されても、休業中の店舗がすぐに営業開始できるわけでもない状態です。しばらくは、営業赤字を覚悟しなければなりません。これは多店舗展開している会社は、どこも同じだと思います」
3月7日で緊急事態宣言が解除されたとしても、新型コロナウイルス対策の改正特別措置法で新たに設けられた「まん延防止等重点措置」で、自治体が決める発令地域では営業時間の短縮要請は可能だ。
さらにいえば、違反で20万円以下の過料を科す規定はあるが、自治体からの要請にしたがった場合の協力金についての詳細な規定がなく、支給されるかも不確かな状態だ。
「2020年春の緊急事態宣言では、全面的に時短要請と休業要請に応じました。お客様と従業員を未知のウイルスから守ることも、経営責任ですから。
でも、当初から冬場の感染拡大はわかりきっていたことで、2020年から2021年にかけて有効な感染対策を打つこともなく、この期に及んで飲食店だけを狙い撃ちした緊急事態宣言の再発令は到底、受け入れられませんでした。
もちろん、休業命令が出るなら従わざるを得ません。しかし休業要請なら、過料を払ってでも可能な限りの感染対策を打って営業するつもりです」
棟久社長のもとには日々、営業に対する抗議電話などが寄せられている。それでも、戦いは続く――。