1月24日、田原総一朗(77)氏が、作家・宮崎学、評論家・西部邁、佐高信ら各氏と、全都道府県で実施されている暴力団排除条例(暴排条例)の廃止を訴えるため、共同声明を発表した。
一般市民は大歓迎なはずのこの条例に、なぜ田原氏はこれほどまで反対するのか。 「僕がまだテレビ東京でディレクターをやっているときのことだけど、2カ月か3カ月に1回、公安警察が僕のところにやってきた。ビニール袋をぶら下げているから何かと思って見ると、中にはテープレコーダーのテープがたくさん入っていたんだ」 田原氏は自身の経験をもとに、こう語り始める。
そして、公安警察は「そのテープには田原氏が人と会って話した会話が録音されている」と話してきたという。 「僕が人と会っているときの写真もたくさん見せられた。盗聴に盗撮だ。
それだけじゃなく、僕の借りていたアパートの部屋にも突然訪ねてきた。当時、警察は“過激派狩り”をさかんにやっていた。僕は取材でそういう人とも会っていたから目をつけられたんだね」 田原氏は警察の“行きすぎた正義感”の怖さを、自らの体験から身に沁みて知っていた。
警察が危険だと判断すれば、すべて取り締まりの対象にされてしまう。そんな権力の拡大解釈を、田原氏は危惧しているのだ。 「暴対法や暴排条例が拡大解釈されたら、言論の自由もなくなってしまうかもしれない。だから反対するんだ」
(週刊FLASH 2012年2月14日号)